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マンガ外交~日中交流のあるべき姿を探る(1)
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2013年8月 8日 15:41

 8月15日を迎えるに当たり、『漫画家たちの「8・15」』(石川好著、潮出版社刊)という一冊の本が"日中交流のあるべき姿"を探る意味で注目されている。
 著者の石川好氏は、第20回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した作家。ジャーナリスト、評論家としての顔も持つ。秋田公立大学美術工芸短期大学の学長経験があるほか、日中関係では、政府の「新日中友好21世紀委員会委員」や一般財団法人「日本漫画事務局八月十五日の会」の理事を務めている。

<日本人は何を考え、何をなすべきなのか!>
book.jpg 石川氏は本書冒頭で、「世界最大規模の経済関係を構築している日中両国であるが、その関係は極めてもろい。その理由がどこにあるのか、そしてそれを克服するために、日本人は何を考え、何をなすべきなのか。日中関係が国交正常化以来、最悪となっている今だからこそ、自分が関わりを持った日中交流の一つの事例である漫画家達の活動"日本漫画事務局八月十五日の会"について書いてみたいと思った」と述べている。

 本書は、「南京の終戦記念日」~「日中"歴史認識"の源流をさぐる」~「展覧会までの道筋」~「"私の八月十五日の会"について」~「盧溝橋に漫画が展示された日」~「批判される場所」~「満州から見える日中の深い溝」~「"マンガ外交"のすすめ」~「"歴史認識"を越えるために」の全九章で構成されている。

 全体を貫く柱は、「日本漫画事務局八月十五日の会」の国内、国外の活動である。2009年、8月15日に開催された海外(中国)初の展示会の様子は、臨場感とともに緊張感が伝わってくる。何と言っても、場所が「侵華日軍南京大虐殺遇難同胞記念館」(南京市)だったからである。結果的には、代表世話人である石川好氏、同会代表理事である森田拳次氏やちばてつや氏といった関係者の尽力で大成功した。日本からは、漫画家9名が出席、北京からは在北京日本大使館の泉公使(宮本雄二特命全権大使の代理)がスピーチをしたのである。

<戦争体験を漫画絵にして後世に託す試み!>
 会場には、「私の八月十五日の会」(現財団法人の前身)が2004年7月に出版した「私の八月十五日―昭和二十年の絵手紙」という画文集に収められた日本の著名な漫画家111名の漫画絵と文章が展示された。

 この「日本人の戦争体験を漫画絵にして後世に託す」という劇的な試みは、南京市という場所柄、途中打ち切りや、暴漢が出没して展示物破損等も当初は覚悟していた。しかし、その不安を吹き飛ばすかのごとく、多くのTV局、新聞で取り上げられ、インターネット等を通して情報が中国全土を駆け巡り、会期は延長に延長を重ねた。結局、2010年の7月31日までのロングランとなり、総入場者数は240万人に達し、同記念館の特別展示場で開催された催しの来場者数で最高記録となった。

 この成功の大きさがどのくらいのものであるかは、その年の12月に行われた「私の八月十五日」の中国語版(人民日報社刊)の発売記念パーティにおける来賓、元中国大使の谷野作太郎氏のスピーチ「外交官として、中国と長いこと付き合ってきましたが、南京であのような展覧会が開催されるなんて信じられません。漫画家の皆さんは国民栄誉賞ものです」で容易に理解できる。

(つづく)
【金木 亮憲】

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