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今こそ、日本企業はカンボジアに進出すべき(1)~(財)CMC・大谷賢二理事長
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2013年8月15日 07:00
カンボジア・マーチャンダイズ・コンサルタント・オフィス
(財)カンボジア地雷撤去キャンペーン理事長 大谷 賢二 氏

 最近、中国の日本に対する挑発行為は、ますますエスカレートしてきている。2010年9月の中国漁船による日本の海洋保安庁巡視船衝突事件以後も、尖閣列島を取り巻く領海、また接続水域における中国巡視船や航空機による領海侵犯は、その頻度を増している。潜水艦による潜水したままの航行も中国によるものと推定されている。最近では、沖縄を琉球と呼び、その帰属まで国際問題化しようという意図が見えてきた。

 同時に、フィリピン、ベトナム、マレーシアなどとは、西沙諸島、南沙諸島をめぐり熾烈な争いを繰り広げている。ミャンマーに対してもODA攻勢により、ベンガル湾からインド洋への出口を求め露骨に海洋大国としての覇権を求めようとしている。現に、中国はミャンマーに対し、橋やダムをつくり、中国元の国際通貨化を目指す目的もあって、ミャンマーでは元の流通も始まっている。

 最近の発表によれば、中国のジニ係数(貧富の格差を測る指標。ジニ係数は、0から1までの値をとり、分布が平等であれば0に近づき、不平等であれば1に近づく係数であり、値の大きさが不平等度を測る指標として用いられている。0.4を超すと内乱や暴動などが起こる危険水域と言われている)が0.61と異常に高い数値となっており、このままでは中国共産党の支配が難しくなる可能性が高いため、国民の目を外に向けさせる狙いもあると思われる。

 このようななかにあって、日本の企業は、反日と労働賃金の急騰によりチャイナ+ワンの議論と具体的行動によりアジアの他の国への生産拠点の移転を計ろうとしている。


 そのなかで注目されているのがミャンマーだ。「ミャンマーこそアジアに残された最後のフロンティア」と言われるように、各国がこぞって進出を計っている。
 2010年新憲法下において長年軟禁状態に置かれていた、アウンサン・スーチー女史が解放され、12年4月の補欠選挙で国会議員に当選してからは、民主化が進んだとして、各国が国を挙げてミャンマーの要人との面会、経済援助、民主化支援などの名目で多額の投資を続けている。ミャンマー政府は、11年の民政移管と同時に、経済特区法の制定、労働団体法の施行、そして管理変動相場制への移行など、数々の経済改革政策を断行。それまで不明朗だった為替レートを統一した。EUと米国はこれらの動きを評価し、制裁措置の緩和や一時停止を打ち出している。今回の安倍首相のミャンマー訪問に40社もの企業のトップが同行したことを見ても、ミャンマーに対する期待の大きさがわかる。

tikyugi.jpg しかし、まだ問題もある。憲法改正なしに、真の民主化はあり得ないのだ。現在のミャンマー連邦議会は、上院と下院の2つで構成されている。議員は両院とも任期5年。議席数は上院が224議席、下院が440議席。各議院の議席のうち、4分の1は国軍司令官による指名枠となっており、軍関係者が25%は占めることになる。残りの4分の3が国民による直接選挙での選出となるが、憲法改正には4分の3以上の賛成が必要であり、これを2015年の次の選挙までに実現するには、かなり厳しい現実がある。スーチー女史はそのときすでに70歳になっており、政治的指導力とその後継者も問題となろう。

 また、ミャンマーは約6,300万人という人口を擁しており、これも大きな魅力であるが、ビルマ族は約60数%、残りをシャン族、カレン族、カチン族など135もの少数民族が占めており、民族紛争が絶えない実情がある。昨年は、カチン族の攻撃により電気施設が破壊され大停電になっている。また、最近はイスラム教徒と、仏教徒の対立が深刻化し、今年3月から5月にかけてミャンマー中部のメイッティーラで起きた暴動では、少なくとも20人が死亡。僧侶も巻き込んで暴徒化した仏教徒はモスクなどに火を放ち、民家や商店を容赦なく破壊した。地元警察はなす術がなく、政府はメイッティーラなど4地区に非常事態宣言を出した。ミャンマーでは、仏教徒とイスラム教徒の間でこれまで以上に緊張が高まっている。昨年には、西部ラカイン州で仏教徒とイスラム系少数民族ロヒンギャが衝突、180人以上の死者と10万人を超す難民が出た。これらも大きな不安定要素である。

 銀行など金融の自由化もまだまだ進まず、ミャンマー最大のカンボーザ銀行においても現金のみの決済で、ATMもなく、銀行の窓口には札束が山のように積まれている。また、工業団地でさえ毎日停電するような脆弱な電力、1年で3倍以上に高騰する不動産なども懸念の材料だ。中国の南下政策に対抗するアメリカとしては、日本の経済進出は大きな力となる。

 私も個人的には、親日で友人も多く、時のゆっくりと流れるミャンマーは、大好きで何度となく訪れているので、一刻も早く真の民主主義国家になることを願っている。

(つづく)

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