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秋の政局に向けた前奏曲か?~参院選挙後、各政党は大荒れに荒れた(後)
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2013年8月13日 07:00

 一方で、細やかな配慮ができる「人徳者」に欠くのがみんなの党。おかげで同党は崩壊寸前のところにいる。
 8月7日の両院議員総会で、渡辺喜美代表が江田憲司幹事長を解任した。
 そもそもみんなの党は、渡辺氏と江田氏の2人が作り上げたようなものだ。奇しくもその翌日の8日、結党4周年を迎えている。
 江田氏は渡辺氏に党改革を迫っていた。具体的にいえば、党に入る政党交付金と立法事務費の使い道を明らかにし、公認方法の客観性を求めていた。江田氏に同調する者は多かった。党内では渡辺氏の「党の私物化」に対する不満がくすぶっていた。みんなの党に入る政党交付金は17億円にものぼるが、その使途が明らかではない。実際に、資金をめぐって怪文書が撒かれている。
 「渡辺喜美 立法事務費、公金の私物化」と題されたその文書は、渡辺氏の資金について事実を詳細に描いている。まずは1人あたり月額65万円の立法事務費だ。立法事務費は通常、各議員に支給されず、党の事務局に納入される。これを渡辺氏が「私物化」していると指摘。また政党交付金については、他の政党ならそれを使う際に幹事長決済、経理局長決裁を経ているが、みんなの党の場合、それもないという。そしてその私物化された政党交付金は、渡辺氏が独断で選考した候補にばらまかれたというのだ。

 その一例として同怪文書は、参院選で愛知選挙区から出馬して当選した薬師寺道代氏に、比例区で出馬した甥の渡辺みちたろう氏が有利になるように工作するように依頼し、その謝礼として1,000万円を払ったと指摘。その他にも勝手に候補を選任し、気に入った候補には重点的に資金をばらまいたとしている。
 実際、薬師寺氏には渡辺氏から「特別の配慮」が届いていたようだ。7日の両院議員総会で、江田氏がこう糾弾している。
「薬師寺さんのところに何千万わたっているんですか!」
 これについて渡辺氏は、薬師寺氏に資金がわたっていないと断言はしなかった。ただ「政党交付金は使っていない。みんなの党は寄付金もなく、党費も少ない」として、個人の借金が原資であるような弁明を述べている。
 しかしその借金を政党交付金で埋めれば同じことだ。17億円の政党交付金の使途は明確にされていないままなのである。

 候補者選定の手続きについても、党内では疑念が渦巻いている。松田公太参院議員の飲み友達ということだけから、東京選挙区の公認候補となった桐島ローランド氏の例ばかりではない。特に関西や九州では、「こんな候補しか立てられなかったのか」という不満の声が大きくなっている。
 「うちの候補は応援したくないから、そっちと代わってもらえないか」
 「こっちも同じようなものだよ」
 「そうか。では仕方ないな」
 関西の地方議員の間で選挙中、上記のような会話が交わされている。それも内輪でのゴタゴタで収まるなら、まだ許せるかもしれない。大問題は福岡選挙区だ。なんと候補者自身が買収容疑で逮捕されてしまったのである。
 8月6日、福岡県警はみんなの党公認候補として福岡選挙区から出馬した古賀輝生容疑者を逮捕した。容疑は買収で、運動員に報酬を約束したというものだ。
 「こんな基本的な違反を犯すなんて、とんでもない」
 あるみんなの党の議員は呆れ返った。
 「そもそもこの候補は当選の見込みは皆無だった。渡辺代表が選挙協力に失敗した日本維新の会にあてつけのために立てたような候補だ。党のダメ―ジは計り知れない」
 江田氏はこの責任も追及した。しかし渡辺氏はきちんと答えなかった。
 7日は大荒れに荒れた両院議員総会だったが、江田氏は同日の会見で、離党の意思がないことを述べている。
これについて江田氏をよく知る関係者は、「離党して1匹狼になってもいいことはない。江田氏が離党する時は、江田新党を作る時。それ以外にはありえない」と語る。
 一方の渡辺氏は翌8日午後の代表会見で、江田氏を「党の中の使い古しのカス」とコケにした上で、「私の方から出ていけというつもりはない」と述べ、江田氏の自発的な離党を示唆した。もし渡辺氏が江田氏を党から追い出したとなると、世間の批判が渡辺氏に集中し、江田氏を悲劇のヒーローにまつりあげてしまうとも限らない。渡辺氏としては、それは絶対に避けたい。自分が江田氏より悪者になるのは、そのプライドが許さない。
 盆休みをはさんでメディアでは、渡辺氏と江田氏の代理戦争が起こりそうな予感がする。すでに渡辺氏と浅尾氏は有名ジャーナリストを囲い込み、江田批判をしかけてきているとの話である。いずれにしても近親憎悪ほど果てしなく怖いものはない。

(了)
【永田 薫】

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