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カンボジアの未来を担う子どもたちを支援(前)
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2013年8月17日 07:00
(財)カンボジア地雷撤去キャンペーン(CMC)
バッタンバン駐在員 柴田 鈴華 氏

 地雷撤去後の土地に学校を建設し、カンボジアを支援している㈶カンボジア地雷撤去キャンペーン(CMC)。外務省からの助成を受けて国際協力分野で活躍が期待される若者を受け入れて、研修を行なっている。柴田氏は4カ月にわたる国内研修の後、昨年10月からカンボジアのCMCバッタンバン現地責任者として赴任。カンボジアの子どもたちが安心して学校に通えるように、日々奮闘中だ。

sibata.jpg 私の駐在しているバッタンバン州は首都プノンペンから北西へ約300kmにあり、カンボジア第2の都市です。人口は約100万人。現在、バッタンバン州周辺にある小中学校の支援を行なっています。主な活動は、学校の環境をより良く改善していくための指導や生徒の学習状況、学校設備や通学路の状況などの聞き取り調査、そして以前は農業の指導などです。赴任してから月に2、3回、定期的に視察に訪れています。最も視察に行なっているのがCMCの建設したトゥールポンローみおつくし中学校です。この学校はバッタンバン州の隣、タイとの国境にあるバンテアイ・ミエンチャイ州にあります。正式な生徒数は130名ですが、常に登校してくるのは80名程度で、残りの生徒は事情により、まったく登校できないか、登校が不定期になっています。その理由としては、まず道路が整備されておらず通学が困難なこと、また生徒の保護者の多くが稲作中心の農耕民で、乾季になると作物ができず、タイまで出稼ぎに行ってしまうことです。

gakkou3.jpg そんな状況のなか、カンボジアの子どもたちは必死に勉強しています。教室にすし詰め状態で、互いに肩をぶつけ合いながら、先生の話を真剣に聞いています。みんな高校へ行きたいと思っているので、必死です。ただし、現実は厳しく、高校が遠く離れた場所にあり、希望通り高校進学できる生徒は少ないのです。生徒に中学卒業後のことを聞くと、高校へ行きたいと答えますし、先生も生徒たちを高校へ行かせてあげたいと思っています。
 そんな子どもたちの多くは、将来、学校の先生になりたいと言います。農村部の生徒はプノンペン市内の生徒と比べると、夢もぜんぜん違いますし、候補も狭くなります。農村部の生徒の生活圏は非常に狭く、周りにあるのは家と学校と畑だけ。存在を知らなければ、夢も限られてしまいます。

 インフラは、以前と比べるとずいぶん良くなりました。以前、学校の前の道はデコボコで、ジャングルのなかに道があったと聞いています。しかし、今は中国がトラック輸送用に道路を舗装してきれいになり、通学路以外は通行に支障はありません。ただ、生徒が通学路として通行している細い道が、まだ整備されていないのです。
 また、通学路の脇には、まだ地雷原が残っていると言われています。本当にあるかどうかはわかりませんが、ないとも言えません。事故が起こってみないとわからないのが現状です。誰も入っていかない場所なので、まだ調査も進んでいません。各団体による命がけの地雷撤去や地雷危険回避教育のおかげで年々被害者数は減少していますが、子どもの被害率は30%と高く、とくに手で触っていたり遊んでいて爆発するケースはいまだに起こっています。こういった子どもたちの被害をなくすためには、学校などでの危険回避教育が重要になってきます。そういう意味でも、今回の道路整備で1人でも多くの子どもが学校に通え、教育を受ける機会が失われないようになればいいと考えています。

tugakuro1.jpg
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 そのためにも、通学路の整備が必要だと感じています。これが現在の通学路の写真(写真1)です。水はけが非常に悪く、雨季になると足先まで水がたまり、歩くのもやっとという状態になります。この辺の道路は乾季になると、岩のように地面が固くなりますし、雨季になるとドロドロになります。通行人は道路の中央は歩きにくいので、道路の端を歩いています。早急にこの道を整備された道に変えたいと考えています。舗装が完了したらこの道路は通学路専用にして、トラックなどの車両は通行できないようにしようと考えています。これは安全上の問題もありますが、道路を長く維持するためでもあります。支援に甘えてすぐに元に戻ってしまっては意味がないので、住民にも理解してもらわなくてはなりません。
(つづく)
【東城 洋平】

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