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トリアス 外資ファンドを取り巻く失望と疑念(5)
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2013年10月21日 11:37

<テナントから不当利得疑惑浮上>
 「どうもおかしい」――。昨年10月、トリアスのあるテナントは電気料金に違和感を覚えた。例年より高いと感じ単価をはじき出すと、8月から跳ね上がっていたことがわかった。あわてて他のテナントに確認を取ると、9月には気付いていたという。また、別の店舗は同社の指摘で値上げを知ったという。
 改めて同社が調べてみると、11月までの4カ月平均で約2割引き上げられていた。金額にして月間7,000~8,000円の値上げだ。年間約7万円強の増加はさほど大きくないように見えるが、同店は「だからこそ事態は深刻」と嘆く。「気付かれないように上げることが可能な額」であり、一方で「テナント数を考えればかなりの額になる」からだ。
 トリアスのテナント数は約130。値上げされたテナント総数は判明しておらず、各店の電力消費量も異なるが、仮に約6割、80店舗が同じ金額値上げされたと試算すると、年間総額は約570万円となる。

 トリアスの電気代は、家賃などと合わせてデベロッパー側(サブリース等の直接契約はトリアスマネジメント)に支払う契約になっている。いわばデベロッパーが九電から仕入れてテナントに販売するようなかたちだ。金額設定はデベロッパーに委ねられる。テナントも「正当な理由があれば上げることに異論はない。」という。

<虚偽の説明した運営会社責任者は転勤>
torius1.jpg しかし、「なぜ告知しなかったのか、上げた理由は何か」と怒りが収まらない。テナント同士の情報交換のなかで、電気代の値上げは多くの店舗の知るところとなった。10月以降、個別に運営会社に問い合わせする店舗が増えていったという。
 ところが、前述の店舗に対する説明はとても納得できるものではなかった。運営会社責任者は、「本社で管理しているので現場ではわからない」という。そこで同店は、あいまいな説明に終始する運営会社をたびたび訪れることになる。すると「(電力需要が)増加する季節的な要因」という説明に変わった。「それならば詳細について文書で通達するなど明確な意思表示があるはずだが、それがなかった。いよいよおかしいなと思った」と不信感を強めて詰め寄った。すると、その後「旧運営会社である(株)トリアスが負担していたので正当な金額に戻した」と再度説明が変わった。だが、旧運営会社(株)トリアスはこの件について、「当社が支払うべきものではないし、そもそも年間数百万円単位の負担をすればたちまち資金が枯渇する」と一蹴。虚偽の説明だったことがわかった。

 同店はらちが明かないとして、運営会社本社にかけあった。やがて、本体からA社に説明に来た。ここに至って始めて値上げの事実を認めるが、理由についてはまたも明確な答えはなかった。進展しない状況にA社は落胆するが、とにかくオーナー会総会で説明する確約だけは取り付けた。その後、運営会社本社がオーナー会前に再度A社を来訪する。そこで、値上げはラサール社と協議によって決められたことが説明された。しかし、4月のオーナー会では確約された値上げ理由の説明はされなかった。二転三転した虚偽の説明に、A社は「むちゃくちゃだ」と呆れている。そして、運営会社責任者は転勤していった。

 弊社の問い合わせに対し、運営会社は「ラサール社の指示により適正な金額に引き上げた」と説明している。一方、ラサール社からは指示したかどうかは答えず「適正な価格にした事実は認知している」という回答を得た。
 前述の通り、電気代値上げの情報は昨年10月以降テナント間で駆けめぐった。多くが既知の事実と見られたが、その後確認したところ、初めて知った店舗もあった。運営会社は当初、「問い合わせがあれば個別にはお答えする」として、告知の意志がない旨を示した。重ねて確認したところ、「しないわけではない。いずれ来年4月頃にでも説明させていただきたい」という姿勢に転じた。

 九電が電気代を値上げしたのは、今年4月以降。各商業施設はこの対応を迫られた。トリアス以外の商業施設にも入居するテナントは、「当然のことだが、このほど別の商業施設から電気代値上げについて詳細な文書が送付されてきた」という。文書には、九電の値上げにより施設の料金を上げざるを得ないことと、変動する単価が記されている。トリアスのテナントは九電値上げとはまったく関係ない時期に、人知れず値上げを行なわれただけに、怒りは大きい。複数の利害関係者は、今現在も値上げの事実を知らない店舗がある可能性について、「犯罪に等しい」と口をそろえる。

 法的には「不当利得」にあたる可能性が高い。これに対し、オーナー会で団結して対応を迫る動きもあったが、足並みがそろわなかった。「何を言っても事態が好転しないというあきらめや、動いたことを理由に退店を迫られることを恐れた」(テナント)というのが、主な理由だ。
 運営会社が来春まで説明を引きのばすのか、誰の指示によるものなのか判然としない。明らかなのは、今後も背信行為を続ける意思を示したことだ。「あまりに理不尽」として、ここに至ってテナントが具体的な動きに転じる構えだ。トリアスが競争力ある施設へ変貌するのか、このまま集客を落としていくか、転換期を迎えている。

(了)

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