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特別取材

福岡歴史特集 川邊康晴氏~「変化できる街と人」(後)
特別取材
2013年10月21日 07:00

<「知恵をしぼって」川邊会長の提案>
fukuokasi.jpg 川邊会長は、2002年から中央区大名に川邊事務所を構え、これまでの経験を活かして起業支援、情報の仲介などを行なっている。インターネットでいろいろな情報が手に入る時代だからこそ、目利きが必要であり、ヒューマンネットワークが大事であると考えている。「この人がいいと言うのならば安心」と思えるようなきちんとした仲介があれば、それまでとは結果が全然違ってくる。ところが、人脈を築くには10年はかかる。とはいえ、ベンチャーはそんな悠長なことは言っていられない。だから、川邊事務所が目利きをして、起業支援の仲介、マッチングなどを行なっている。いわば、情報や人脈の融通業だ。

 すごいのは、起業支援をする際、成功報酬方式でないと受け付けていないということである。提携している紹介先にも、成功報酬方式にすることを求めている。うまくいくかどうかわからないのにお金を払うのには躊躇するが、うまくいってから払うのであれば安心感があり、しかも当初は経営にお金を回すことができる。こうしたことを10年も続けてきたので、経済産業省がなぜうまくいっているのか秘訣を聞きに来たことがあるという。「払う側にしてみると、成功するかどうかわからないのに払うのではなく、実際にコストが下がるなどうまくいってから払うのだから、納得して支払うことができる」と川邊会長はこともなげに話す。

 長野県は、高齢者が農業に従事するなどしているため就業率が高く、健康寿命が長く、1人当たりの医療費も低い。一方、福岡の場合は、高齢者の就業率が低く、保護世帯率も高い。高齢者が働く場を得たり、シニアベンチャーを立ち上げたりして月に5~10万円でも稼ぐようになれば、消費に回り、経済も活性化する。高齢者は弱者だという考えを持っている人がいまだにいるが、年金制度があるので、高齢者が働く場、活躍する場を得られるようになれば、多少消費しても安心である。「高齢者の就業率を高めるべきだ」と川邊会長は主張する。

 川邊会長は、福岡にはドーム球場があることで、「5万人が集まるイベントを行なうことができる」と評価している。しかし、「まだまだ足りない、イベント会場施設を増やせば経済効果は1,000兆円にも達する」と見ている。「イベント施設は民間と協力して建設し、福岡市の経済観光文化局が旅行代理店のようになって、1年のうち200日をイベントで埋めるとよい」「人を呼び込むために市役所が仕掛け人、コーディネーターになって、学会ごとにキーマンを押さえ、3年先まで旅行代理店のように打ち合わせるとよい」と提案する。

 イタリアの場合、国内マーケットは貧弱だが、中小企業が元気で、100年以上続いているところも多く、世界を相手に輸出に励んでいるという。我が国は今後、さらに少子高齢化が進み、人口が減っていくことが予想されるが、イタリアのように世界を相手に経済力を伸ばすことはできる。新しいマーケットを創出し、1人当たりGDPを高め、シンガポールやオランダのように役立つ街にならなければならない。最近は、自らがアジアに進出していく中小企業が多いが、自らが進出するのではなく、アジアのパートナーとタイアップしていった方がよい、と川邊会長は考えている。

 また川端会長は、福岡にIT会社がたくさんあるものの、大企業の下請けが多く、半分の値段で請け負うなどしている現状を懸念している。「建設の保証制度のように、福岡市がIT保証協会をつくるとよい」「そうすれば全国のIT会社は放っておいてもやってくるはずだ」と川邊会長は提案する。
 今後も変化に対応して智恵を絞れば、人が集まり、事業が楽になる。今はまだ生産年齢人口が少なくはない。その間に、恵まれたインフラ、好条件を生かしつつ、変化に対応できる博多商人のDNAを守り育てていく必要がある――。川邊会長の数々の提案をうかがいながら、そう痛感した。

(了)
【石坂 文】

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