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【独占インタビュー】飯田哲也氏「したたかな10年戦争」を目指す~山口県知事選不出馬のワケ(前)
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2014年1月27日 16:32

 1月22日、「飯田哲也氏、山口県知事選不出馬を表明」の第一報が流れ、関係者から驚きの声が上がった。現知事の山本繁太郎氏は昨年10月から体調をくずし入院。退院のメドが立たず今月7日に辞任する意向が周囲に伝えられ、にわかに選挙の準備が始まった(2月9日告示)。飯田氏は12年8月の県知事選で「脱原発の旗手」として善戦しただけに、出馬を期待する声も多かった。なぜ今回不出馬という判断を下したのか。その胸中を聞くため、本人に直撃取材した。

 ――私のまわりでは「今回も当然、飯田さんは出馬するんだろう」という声が上がっていたのですが、不出馬の一報をそうした人たちに伝えると「えっ、そうなの?」と驚きを隠せないようでした。

飯田 哲也 氏 飯田哲也氏(以下、飯田) 今回の山口県知事選については、もちろん期待をする声がいろいろあり、私の耳にも届いていました。非常にわかりやすいたとえで言うと、乃木希典の203高地作戦(※1)のような「愚直な正面突破による短期決戦」をもう一度繰り返すのか、そうではなく大外まわりで「したたかな10年戦争」を仕掛けるのか。
 こう考えたときに過去2回の選挙(※2)での敗戦を踏まえると、今回は仮に玉砕覚悟の正面突破で勝てば「すごく大きなチャレンジだった」と評価されるのでしょう。しかし、「負けたときは失うものが大きすぎる」と率直に思いました。つまり、私が今後いろいろな活動していくうえでの足場が非常に厳しくなってしまう。そういうギャンブルを仕掛けるのではなく、「したたかな10年戦争」の方がいいという判断でした。

 ――飯田さんの向かう先は「原発ゼロ」なのでしょうが、やはり地方から変えるより、中央で戦いを仕掛けていった方がいいという判断ですか。

 飯田 中央・地方の対比というわけではありません。狭い意味での「政治」というのはそもそも、社会を変えていくもっとも直接的かつ古いスタイルだと思っています。万が一、私が選挙で勝つようなことになっていれば、安倍政権には衝撃的な結果だったでしょう。
 知事の持つ権力は強大なのかもしれません。ただ、知事という立場から実現できる「本当に新しいこと」は、実はそれほど多くないのではないか。私が山口県を本当に作りたい地域社会に変えられるのかと問われれば、知事や役人という明治時代からの「尾てい骨」を引きずっているようなスタイルでは、新しい時代への先駆的かつ革新的なことがまったくできないという答えが出てきます。
 別の言い方をすれば、「社会全体や平均値を1ミリ動かす」知事としての仕事に力を注ぐのか、「もっとも尖った物事の1%を100メートル進める」社会イノベーターとしての仕事に力を注ぐのか。どちらも大事なのですが、長い目で見れば後者の方向に社会はじわっと動いてくるはず。そう考えました。
 しかも、「平均値」を1ミリ動かすためには、乃木希典のような「愚直な正面突破」となる知事選への挑戦が必要になる。それで勝つ確率は10に1つ、100に1つ。そんな賭けに打って出ることで、確実に挑戦できる「10年戦争」の足場を失うのは、私にとっては非常にリスキーだったのです。

(つづく)
【取材/文・構成:大根田 康介】

| (後) ≫

(※1)日露戦争中の「旅順攻囲戦」における要塞早期攻略のための強襲作戦のこと。
(※2)1度目は2012年8月の山口県知事選。2度目は同年12月の衆議院議員総選挙。いずれも次点での落選となった。


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