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「NISA」(ニーサ)に潜むリスクを検証する(14)
経済
2014年1月31日 07:00

tokai.jpg 各金融機関はNISA獲得のために莫大な広告キャンペーンを打ち出しているが、そのなかでも特に目立つのは証券会社の張り切りようだ。
 NISAが誕生するきっかけとなったのは、税収を増やしたい財務官僚と、株価上昇によって目に見える景気回復を演出したい安倍政権、そしてリーマンショック以降離れていった個人投資家をアベノミクスの追い風に乗って引き戻したい証券業界、その三者の思惑が一致したからだ。
 そのため「NISAは成功だ!」というイメージ作りたい安倍政権は、金融庁を通じて各金融機関に相当のノルマを課したと言われている。そのノルマを達成する為に営業マン達が必死に走り回った結果、開設申請が始まった昨年10月1日の初日だけで358万件に達したと言われている。
 しかし口座獲得には弊害も見られ、「1人1口座」という決まりを知らない個人投資家による重複申請が相次ぎ、その数は数十万件にも及び、国税庁は重複の洗い出しに大わらわだったと伝えられている。
 かつて「所得倍増計画」を打ち出した池田隼人内閣は1963年、その一環として貯蓄推進を掲げマル優制度「少額貯蓄非課税制度」を発足させたが、管理が杜撰だったことや本来の目的を外れて大口資産家の脱税の道具に利用されたことから、2006年に全面的に廃止となった。
 そんな失敗例があるにもかかわらず、景気回復を最優先する安倍内閣は、その復刻版とも言えるNISA「少額投資非課税制度」を誕生させたと言えよう。「貯蓄から投資へ」を合言葉にNISAは登場したが、その裏には「金融機関への圧力→重複口座の大量発生→管理作業増加→国税庁の人員増」の図式が示す通り、財務官僚が組織を拡大しようとするうごめきが秘められているのだ。

 安倍政権が「NISA」に期待するもう一つの隠し玉がある。日銀の発表によると2013年末の日銀紙幣の発行残高は、前年末比4.0%増の90兆1,431億円で、4年連続で過去最高を更新している。そのなかで市中に流通しない退蔵預金、つまりタンス預金は約5兆円程度あるのではないかと見られており、安倍政権は「NISA」を使って、タンス預金を証券市場に呼び込み、株価上昇に弾みを付けるというものだ。今年4月から消費税が8%に引き上げられ、初年度の税収は5兆1,000億円(平年は8兆1,000億円)増加が見込まれている。日銀による更なる金融緩和策や赤字国債発行による財政出動よりも、3%の消費増税に匹敵するタンス預金を「NISA」に誘導し、株価引き上げに利用した方が、効果があるとの考えもあながち間違ってはいないのかもしれない。
 上記のように財務官僚と政府、そして証券業界がタッグを組んだ結果、「NISA」が誕生したと言えよう。

 果たして官主導の「NISA」が、本当に個人投資家に利益をもたらすことになるのか、それとも個人投資家を「すってんてん」にするのか。まさにNISA(ニーサ)に潜む最大のリスクは、安倍首相が掲げる成長戦略そのものにあると言えるのかもしれない。

(了)
【北山 譲】

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