社団法人国土政策研究会（会長：岩井國臣元建設省河川局長）は２月28日、福岡市のまちづくりを主なテーマにして2014年２月度の国土政策セミナーを福岡市博多区内のホテルで開催した。建設企業の関係者など40名が参加した。今回の講師は福岡市住宅都市局の馬場隆局長。馬場氏は、都市計画局企画課長や交通局理事を経て、11年４月から現職を務める。

＜水辺の公園の集約をめざす＞
　馬場氏は、市街地開発など都市機能強化と、住宅政策を含む安全・安心のまちづくりについて取り上げた。「全国的にコンパクトシティを目指す流れにあるが、福岡市は、歴史的に、市街地をむやみに周辺部に広げず、計画的なまちづくりを目指してきた」と福岡市の特徴を説明。「福岡市中心地を流れる川沿いにある公園の有効活用ができていなかった」ことを踏まえ、「清流公園や水上公園など複数にまたがる川沿いにある公園を、一つの公園に集約し、用途を広げたい」との考えを示した。
　すでに大濠公園の敷地内に、スターバックスが店舗を構え、公園を訪れる人たちに憩いを与えている事例を挙げて、市として、さらに水辺の有効活用など回遊空間を整備し、来訪する人たちを惹きつける景観づくりを目指していく考えを紹介した。

＜まちづくりは経済活性化のエネルギーになる＞
　馬場氏は、九州大学の跡地の活用計画や検討状況を説明。六本松キャンパス跡地は、南側は、裁判所や弁護士会館など法曹関係の移転が決まっている。北側については、先日、JR九州が落札。分譲マンションや商業施設建設が予定されている。箱崎キャンパスは、43haという広大な敷地で、工学系は、伊都キャンパスに移転し、2019年までに文系や理学・農学系の移転が完了する。馬場氏は「その活用の検討はこれからだ」としたうえで、「九州大学と協議しながら、跡地の利用計画を進めている」ことを明らかにした。

　住宅政策については、サービス付き高齢者向け住宅の供給について報告した。築30年以上の老朽化した市営住宅の改築が行われているが、アセットマネジメントの観点に基づいて既存住宅について共用スペースの手すりの設置や耐震化100％を目指した改善工事を進めていくという。

　国土政策研究会の理事を務める藤本顕憲福岡市議は、「まちづくりは、市の経済活性化の大きなエネルギーになる」との認識を示し、「福岡市には、懸案である天神の再生に取り組んでいただきたい」と閉会あいさつを述べた。

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