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北九州市が掲げる新成長戦略、市制100周年に向けて挑む(後)~北九州市長 北橋健治氏
行政
2014年2月 7日 15:47

<環境未来都市 北九州、世界に向けて着実に浸透>
 ――北橋市長が就任されて早7年。多くのメディアや国際機関のレポートでも注目を集め、一般の方々がお感じになる以上に「環境=北九州市」は浸透してきています。新成長戦略では、環境・エネルギー分野をどのように位置づけますか。

 北橋 東日本大震災以降、エネルギーの安定的な確保が、市民や企業の活動を根底で支える「都市の生命線」であることが認識されるようになってきました。蓄積したノウハウを活かし、本市では、低炭素かつ安定・安価な電力の供給によって地域を支える「北九州市地域エネルギー拠点化推進事業」を重点プロジェクトの1つに掲げました。これは、響灘地区のポテンシャルを活かし、洋上風力発電所や高効率火力発電所の拠点化を目指すとともに、需要側では工場や事務所などを束ねることで、地区全体でエネルギーを賢く使う「産業版スマートグリッド」の構築を目指すものです。2014年は、その中核を担う「地域エネルギー会社」の設立に向けた準備を進めることになっています。

 ――増大を続ける世界のエネルギー需要に照らせば、事業成果の海外展開も視野に入ると思われます。先駆けとなった「海外水ビジネス」ですが、現状はいかがですか。

北九州市役所 北橋 新成長戦略の方向性の1つとして「北九州の強みを活かし、アジアなどのグローバル需要を取り込む海外ビジネス拠点の形成」を掲げているように、「アジア低炭素化センター」が中心となって、環境国際ビジネスの海外展開を進めています。
 このうち、海外水ビジネスは、カンボジア、ベトナム、インドネシアにおける基本計画づくりなど、コンサルタント業務を中心に受注が続いています。昨年は、ベトナムのハイフォン市のビンバオ浄水場に、本市上下水道局が国内特許を有する上向流式生物接触ろ過設備(U-BCF)が完成しました。現在、ベトナム国内の8都市において、新たにU-BCFに係る基礎調査や実証実験が進められているところです。
 また、本市と環境姉妹都市のインドネシア・スラバヤ市では、コジェネレーションを核とする工業団地のスマート化を中心に、廃棄物処理や排水処理、飲料水供給など総合的な観点から「グリーンシティ」の輸出を目指しています。
 今後は北九州市がこれまで培った技術を体系的にまとめた「北九州モデル」を活用し、相手側都市のニーズに応じた都市環境インフラの海外輸出をさらに展開したいと考えています。
 もちろん、こうした環境ビジネスはアジア諸国の発展と共にあらねばなりません。アジアの成長に貢献しながら共に成長する「世界の環境首都」「アジアの技術首都」こそが、北九州市の真に目指すところなのです。

<進む少子高齢化 官民一体で取り組む>
 ――お示しになった3つの課題のうち、少子高齢化対策は、どのような方針で進めますか。

 北橋 北九州市は、政令指定都市のなかで最も高齢化が進んでおり、昨年3月末現在の高齢化率は26.2%と人口の4人に1人が65歳以上の高齢者という状況です。高齢者のうち、介護保険の要介護認定を受けている方が全体のおよそ2割。介護の必要がない元気な高齢者が、見守りや交流、健康づくりなどの地域活動の担い手として幅広く活躍されています。アンケート調査では、7割以上の高齢者が社会貢献に意欲を示しておられますので、高齢者の皆さんが持てる能力や意欲を活かし、地域社会の担い手として活躍できる環境づくりを進めることが、次の時代へ向けたまちづくりの重要な課題であると考えています。

 ――元気な高齢者をより元気づける施策と、困った高齢者を手助けする施策の両面が必要となりますね。

 北橋 元気な高齢者を増やす取り組みとして、本市では、地域の高齢者が経験や特技を活かして学校の授業支援に取り組む「スクールヘルパー事業」や、未利用市有地を活用して、子どもと高齢者が一緒に花壇や菜園づくりを行なう「ふれあい花壇・菜園事業(まちの森プロジェクト)」を進めています。今後はさらに、公園の活用やウォーキングなどによる「健康づくり」や、「年長者いこいの家」の活用などでの身近な「居場所づくり」についても検討していきたいと思います。

北九州市長 北橋健治氏 一方、困った人を支える本市独自の取り組みとして、地域の皆さんと協力して、支援の必要な人を見守る「いのちをつなぐネットワーク事業」や、認知症を正しく理解し支える「認知症サポーター」を延べ4万人養成するなど、地域社会の協働によるネットワークづくりを進めてきました。また、買い物弱者への対応について、政令市初の試みとして、昨年8月に市内全域の「買い物環境マップ」を公表しています。地域や民間の動きも活性化しつつあり、今後は民間と地域をつなぐ新たな取り組みとして、本年度末までに「買い物応援ネットワーク会議(仮称)」を立ち上げる予定です。

 ――「スクールヘルパー事業」に見られるように、元気な高齢者を増やす取り組みは、少子化対策や子育て支援ともリンクしているのですね。学校における取り組みはどうですか。

 北橋 全国に先駆けて「放課後児童クラブ」(学童保育)の対象を全児童に広げています。以前は低学年の留守家庭を対象としていましたが、これを希望する全学年の児童に広げたことで、放課後の児童の安全な居場所がより充実したかたちで確保されることになりました。子育て家庭を支援しつつ、子どもたち自身が健やかに成長できるような環境づくりに取り組んでいます。

<飛躍の一年を決意 緑の成長都市を目指す>
 ――以上を踏まえたすべての課題に通じるのが「安心安全なまちづくり」という位置づけですね。小倉駅前のある商店主は、「ここ数年で人通りが戻ってきた」と話していました。

 北橋 街のにぎわいづくりは非常に重要です。人が集まり街が賑わうことで、地元経済のビジネスチャンスは拡大します。小倉駅新幹線口の「あるあるCity」では、すでに「北九州市漫画ミュージアム」が人気を博しており、今年3月には日本最大級のインキュベーションスペース「fabbit(ファビット)」も加わる予定になっています。さらに、今後は新スタジアムの建設も決定しています。サッカーやラグビーの公式試合の開催はもちろん、多くの若者が集まるコンサートをはじめとした各種イベント施設としても整備していきたいと考えていますので、大きな期待を寄せています。

 ――先の商店主は、「商店街に雇用が生まれたことが、何よりの成果」だと喜んでいました。良い循環を生むまちづくりに、雇用の創出は欠かせません。

 北橋 たとえば、少子高齢化の進展でニーズが高まっている健康・生活産業には、多くのビジネスチャンスが眠っているのではないでしょうか。企業と福祉施設などの現場のニーズが噛み合えば、新たなビジネスが生まれる可能性があります。本市でもマッチングを進める協議会を設立して、新たな雇用創出に取り組んでいます。

 ――最後になりますが、今年の抱負をお聞かせください。

 北橋 年頭に当たり、新成長戦略の推進を市政の最重点課題と位置付け、成長を加速させていきたいと強く考えているところです。新成長戦略を実施することで、雇用が生まれて税収が増えれば、少子高齢化対策を前進させることができます。現在、政府が取り組む経済対策「アベノミクス」の効果やインセンティブも活用しながら進めていくことになるでしょう。他方で、持続可能で安定的な財政の確立・維持も欠かせません。行財政改革を進め、より一層の「選択と集中」を推し進める方針です。
 昨年10月に発表された「OECDグリーンシティ・プログラム北九州レポート(日本語版)」では、「北九州市のこれからのグリーン成長は、過去に成し遂げたことと同様、市民の強い関与によるべきである」と提言されていました。次の50年に向けて市民と議論を深め、世界をリードする「緑の成長都市(グリーンシティ)」に飛躍する最初の1年にしていきます。

 ――2月9日に実施される最後の50周年記念事業、「北九州マラソン2014」を楽しみにしている市民も多いと思います。北九州市が飛躍を遂げる1年になることを期待しています。

(了)
【田口 芳州】

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