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消費者庁 健康食品の表示に関する検討会開催(2)大濱宏文氏に聞く~EU制度がベストなのか?

2010年2月 8日 11:26

 当健康情報サイトで5日に既報のとおり、4日に開催された「第4回健康食品の表示に関する検討会」では、米国やEU(欧州連合)など海外諸国における機能性表示制度の報告と意見交換に多くの時間が割かれた。


 その結果、「多くの委員がEU型に関心を示したことなどから、米国型を導入する可能性は狭まったようだ」(健康産業速報)、「サプリメント先進国の事例が報告された今回の検討会では、トクホ制度のある日本の健康食品業界が、ヘルスクレームのあり方などについて目指すべき方向性、課題等があぶりだされる格好となった」(健康美容EXPOニュース)などの報道がなされた。果たして本当にそうなのか?


 データマックスではNNFAジャパン(現・国際栄養食品協会)の元代表で、サプリメントの立法化を目指すエグゼクティブ会議の議長を務めたこともある大濱宏文氏(バイオヘルス リサーチ リミテッド代表取締役)に同検討会にかかわる感想をたずねた。


◇「サプリメント法の確立がベスト」(大濱氏)


 大濱氏は同検討会に出席していないため、「断片的な情報に基づく所感に過ぎない」と断わりを述べたうえで、「米国の場合は、健康強調表示(ヘルスクレーム)と構造機能表示は別の規制で管理されているのでわかりにくいところがある。そういう意味では日本にとって、制度としてはEUのほうがわかりやすいだろう」と一定の評価を下した。
しかし一方では、「機能性表示のエビデンスを確認するうえでの方法論については、米国とEUで比較して考えたばあい、双方で一長一短があるため一概にどちらが良いとは言い切れない」と条件も付けた。そのうえで、「わが国においては、安全性と有効性、さらに品質から表示、手続きなども含めた包括的なサプリメント法を確立するのがベスト」とした。


 大濱氏の回答は、見方を変えれば、表示検討会そのものの意義を問うことばとも受け取れる。


 現在、わが国の健康食品には明確な定義が与えられておらず、行政間では「いわゆる健康食品」というあいまいな呼び方が用いられている。食品として扱われているため、「~に効く」や、「~を治す」などの効能や効果は、薬事法に抵触することから消費者に伝えることができない。いわば「健康食品」とは身過ぎ世過ぎのための『仮の姿』に過ぎないのだ。
 ただし、厚生労働省(昨年9月からは消費者庁)が許可した特定保健用食品(以下、特保)については、一定の効能表示が許されている。
 ところが昨年9月に発覚した花王のエコナ騒動をきっかけに、特保の安全性神話に霧が立ち込めた。衆議院選挙のどさくさ紛れに発足した感のある消費者庁だったが、9月1日に発足したあとは、食品安全委員会との二人三脚で「健康食品の表示に関する検討会」を設置し、特保制度の存廃も含め、健康食品の表示のあり方についての討議を開始した。


 当初、エコナ問題に端を発して設置されたといわれる同検討会の思惑を危ぶむ業界人は多く、「特保ごと健康食品がつぶされる」など極端な悲観論もささやかれたらしい。今や、健康食品が食品業界の『お荷物』と化してしまったのを嘆くかのような発言だ。
 ところが蓋をあけてからわずか2カ月で、あたかもヘルスクレームが許可されることを前提にしたかのような二者択一論が取り沙汰されはじめた。いったいどうなっているのか? これは単に業界紙の業界に対するエール、行政に対するけん制にすぎないのか?


◇表示検討会は全体のほんの一部


 ことはそう単純ではなさそうだ。第一、機能性食品(便宜的に、特保と健食の双方を指すものとする)に投げかけられているのは、表示以前の問題として、表示を担保するに足る有効性と安全性、そして品質保証の問題だ。実際に業界サイドでは、(財)日本健康・栄養食品協会の認定するJHFAマークを刷新した「ニューJHFAマーク構想」や第三者認証制度の策定を視野に、ロードマップを描こうとする動きがある。一方、安全性に関しても製造所のGMP適合認定の運用がすでに実施されているのだが、認定団体ごとに任意の運用がなされている。大切なのは、それらを横串でつらぬくことのできる法的な根拠ではないかというのが、大濱氏の見解ではあるまいか。


 先鞭的な役割を果している米国とEUはいうまでもなく、中国や韓国、台湾においても法制度が整っている。また、カナダやオーストラリア、ニュージーランドほか南米諸国でも作業が進められていると聞く。1991年、機能性食品(ファンクショナルフーズ)の制度を打ち立てて新しい時代をひらいたかにみえたわが国も、今では世界標準に取り残されているらしい。そういう意味でも、海外に目を向けることは必要なことだろう。ただし、表示検討会で討議されているのは、問題のほんの一部分の話にしかすぎないということだ。


 Net-IB「健康情報サイト」では来月より、大濱氏による連載を開始する。そもそもサプリメント法とは何か、表示検討会の動きを眺めながら、米国やEUにおける制度を紹介、わが国に適当な法制度、ならびに法制定に必要とされる諸手続きなどについて解説する。


 食品安全基本法第9条には「消費者の役割」として次のようにある。


「消費者は、食品の安全性の確保に関する知識と理解を深めるとともに、食品の安全性の確保に関する施策について意見を表明するように努めることによって、食品の安全性の確保に積極的な役割を果たすものとする」


 読者のみなさんとともに、健康食品のあるべき姿を考えていきたい。

【田代】

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