経営法律事務所 北斗　代表弁護士　田畠　光一

＜法律家こそ経営者のパートナー＞

　2010年４月に「経営法律事務所 北斗」を開設した田畠光一弁護士。大阪に生まれ、小学校入学と同時に、両親の実家である香川県木田郡三木町に引っ越しをした後は、小学１年生から実家のうどん屋を手伝った。商売を通して数字に興味を覚え、やがて九州工業大学情報工学部へ進学する。しかし卒業後は研究職ではなく、日立製作所の技術営業として就職。そして同社を退職し、弁理士をめざそうと弁理士試験の予備校に資料を取りに行った。その予備校でたまたま弁理士試験の資料の隣にあった司法試験の資料を見て、弁護士ならばより広い範囲で仕事ができるのではないかと直感。司法試験への挑戦に舵を切ったという。
　実家のうどん屋で身につけたビジネス感覚、高校・大学で学んだ理工系知識、そして弁護士として知財等の法律知識など、多彩な知識を持つ田畠弁護士。彼は独立開業後の事務所の方針を明確に打ち出している。それが『ビジネスをフルサポートする法律事務所』、すなわちコンサルティングローファームだ。
　「ベンチャーが盛んなシリコンバレーには、起業家が会社を立ち上げる時点から、弁護士がリーガルチェックを行ない、経営に絡みます。時には投資家まで見つけてきます。そして起業家がたとえ事業に失敗しても、あらかじめリーガルチェックを済ませているからこそ事業リスクと個人を切り離すことができ、起業家の再チャレンジも容易にできるのです。ある意味、弁護士は経営者のパートナーでもあるわけで、それはシリコンバレーの常
識にもなっています。しかし日本の弁護士は裁判重視で経営には口を出さない。私はベンチャーをめざす起業家のパートナーとして、企業を法律と経営の両面で支える弁護士をめざしています」。田畠弁護士は、自身の仕事をより高度に遂行するため、九州大学ビジネススクールでＭＢＡ（経営学修士）を取得している。

＜行政のリーダーは良き設計者に＞

　起業家支援に特化することをめざす田畠弁護士の福岡への提言は、ベンチャーに関するものだ。
　「福岡にもインキュベーションを目的とした施設等は複数ありますが、行政はハードを造るまで。起業家にとって重要な経営相談や法律相談など、ソフト面のサービスはまだまだ立ち後れています。そのあたりの支援体制を整え、『起業するなら福岡で！』と志を持つ人が集まってくる街になってほしいですね」。
　また、行政サイドへの要望もある。「知的財産の専門家や大学関係者などが集う勉強会に参加していますが、そういう場でまとめたいろんな提案や意見を行政の担当者に言ってもなかなか上まで通らないもどかしさがあります。また、担当者が２、３年で異動するため、提案が途中で立ち消えになることも多い。これは市も県も同じです。そのため、トップに直接アクセスしたくなるのですが、首長や部局長クラスといった行政トップが、福岡のグランドデザインをお持ちかと言えば、必ずしもそうではない。話が通じないことも多いのです。多彩なベンチャーが生まれ育つ風土を創ってほしいと希望する私は、行政のリーダーたちに長期的視野をもち、将来像を描く良き設計者であってほしいと思います」。

＜プロフィール＞
田畠　光一（たばた　こういち）
1975年５月、大阪府生まれ。小学校入学と同時に香川県に移る。98年、九州工業大学情報工学部機械システム工学科卒業後、「（株）日立製作所九州支社」に入社。05年10月、弁護士開業。「不二法律事務所」に入所。08年９月、九州大学ビジネススクールにてMBA（経営学修士）取得。10年４月、「経営法律事務所北斗」開業。

＜会社概要＞
経営法律事務所 北斗
代表者：田畠　光一
所在地：福岡市中央区舞鶴2-2-11　富士ビル赤坂６階
設　立：2010年４月１日
ＴＥＬ：092-717-8200
ＵＲＬ：http://www.hokuto-law.co.jp

※本稿は以下の書籍に掲載されています。

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