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イオンモール、プノンペン店開業~ASEAN展開がスタート(前)
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2013年8月13日 07:00

 イオンが「アジアシフト」を加速している。2014年上期にグループで大型商業施設開発を手がけるイオンモールがASEAN(アセアン、東南アジア諸国連合)初の大型ショッピングモールをカンボジアの首都プノンペンに開設する。今秋にはベトナムのホーチミン、14年春にはインドネシア・ジャカルタに進出する。ミャンマー、タイ、インド、ラオスなど事業展開に向けたファシビリティスタディ(事業化あるいは事業継続が可能か、実施意義や妥当性があるかどうかを多角的に調査・検討すること)を推進し、成長著しい東南アジアで、各国のさらなる発展と経済活性化に寄与することを目指す。

<流通外資の先陣切る>
 ASEANにおける大型ショッピングモール1号店の「イオンモールプノンペン」。市内中心部にあり、前にはメコン川の支流パサック川が流れる。敷地面積6万3,000m2で、建物は3階建て、延床面積10万500m2。内戦後の混乱から脱け出し発展著しいプノンペンでも最大級の商業施設となる。外資による大型商業施設はこれが第1号。昨年12月上旬、現地で行なわれた起工式には岡田元也社長とともにフン・セン首相が出席し、「イオンモールプノンペンは我が国初の国際的なショッピングモール。国民の需要を満たし生活向上に大きな役割を果たしてくれると確信している」と述べ、施設に寄せるカンボジア側の期待の大きさをうかがわせた。
 イオンモールプノンペンには国内外合わせて約150店のテナントが出店する。このうち約3割が日本、残り約7割がカンボジアをはじめとした日本以外の企業で、これらを通じ米国、ヨーロッパなどのインターナショナルブランドも出店する。

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<中間層が台頭>
 カンボジアの経済成長は目覚ましい。実質GDP(国内総生産)の伸び率は12年6.5%、13年6.7%を記録、これにともなって首都プノンペンでは多くの中間層が生まれつつある。イオンモールの調べでは、1号店の周囲5km以内に約70万人の人が住み、このうち月収入400ドル(約4万円)以上の中間層の所得層が78%を占める。

 一方で、高度成長に商業環境の整備が追い付かず、近代的な大型商業施設の開発が遅れている。
 カンボジアに次ぎ、ベトナムとインドネシアで大型商業施設の開設計画が進行中。
 ベトナムでは2015年度上期に南部のホーチミンと首都ハノイに相次ぎ出店する。ホーチミンの1号店「イオンモール セラドンシティ」(仮称)は同市郊外のセラドン タンフー区に建設する。計画では、敷地3万5,100m2で、建物は3階建て、延べ床面積8万m2、店舗面積4万2,000m2。このうち、直営が1万6,000m2、テナントが2万6,000m2
 800台収容の駐車場を設けるほか、2,600台収容の自転車・バイクの駐輪場を用意する。

 テナントは約150店を予定。物販と飲食店のほか、屋上のシネコンや、ゲームセンター、ボーリング場などの娯楽施設を導入する。ベトナムでは、海外の有名ブランド専門店がそろい、アミューズメント施設を備えたワンストップ型の郊外型大型商業施設自体がまだ珍しいという。
 1号店には「ジャパン・プレミアムソーン」を設け、日本ブランドと日本文化を発信する試みを取り入れる計画。評判が良ければ2号店以降にも導入していく。

 イオンモール セラドンシティはベトナムの空の玄関口タンソンニエット空港に近い。バイクで5分以内の1次商圏だけで17万8,000人、4万5,400所帯が居住。来店エリアとして想定する15分圏内では137万人、34万8,000所帯が住む(09年度調べ)。開発の進行で人口は今も急増し続けている。

<新しい集積体を創造>
 ホーチミン中心部では、高額所得層や観光客向けに高感度・高価格なブランドと商品をそろえた商業施設や専門店が増えている一方で、大半は今なお昔ながらの小売店や飲食店で占められる。郊外では台頭する中間層向けに商業施設の開発が始まったばかりだ。
 イオンモールは市内中心部では満たすことのできないファッションの提案と1日中そこで時間を消費できるエンターテインメント施設、あらゆるメニューを選択できる飲食街、今までにないサービス機能をそろえた新しい集積体の創造を目指す。具体的には(1)ヨーロッパ、アジアなど世界の料理を提供するレストラン街や大規模フードコート、シネコン、ボーリング場など、地域ナンバーワンの飲食・アミューズメント施設を構築する、(2)世界各国で支持されているSPAプレイヤーをはじめとしたインターナショナルブランド、お洒落で新しいライフスタイル雑貨など、ワンランク上の新しいライフスタイル雑貨を創造、(3)携帯電話やPC専門店などからなるITゾーンやお洒落な美容院、ネイル、エステ、各種教室、スタジオ、旅行代理店など「コト」を提供する―というもの。

 ホーチミンには2号店として「イオン ビンズオンキャナリー ショッピングセンター」(仮称)を同市北部のビンズオンキャナリー地区に開設する計画。近年海外資本による工業団地やオフィス、住宅、学校の整備が進められている。イオンモールはこの一角に建設される商業施設の運営を受託。テナントリーシングと開業後の施設運営を請け負う。

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<ハノイに本格的モール>
 ホーチミンの2店が比較的投資リスクの少ないリーシングと運営受託なのに対し、ハノイではイオンモール業態で本格的なショッピングモールを開設する。同市郊外のロングビエン地区に、敷地約9万6,000m2、4階建て、延べ床面積10万8,000m2で大型駐車場を備えた建物を建設。商業施設の規模はハノイでも最大級になる。

 ベトナムは人口約9,000万人でASEANではインドネシアに次ぐ大国。首都ハノイは人口約700万人で、このうち60%が30歳以下という若い国だ。日本では社会主義国のイメージが強いが、規制は比較的緩やかで独資100%も認められている。他のASEAN諸国同様、経済成長率は高く、2000年以降のGDPは年5.3~8.4%の伸びを続けている。
 経済成長で大型商業施設の開発が活発化しているが、最大経済都市ホーチミンでも海外有名ブランドを扱う高級店か、一般大衆向けの小売店で占められ、品質とイメージの良い中間商品の店舗が少ない。イオンモールはブランドの認知を浸透させ、商業施設デベロッパーとして先行していく戦略だ。

(つづく)
【工藤 勝広】

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