2024年04月19日( 金 )

獅子身中の虫~(福)平成会を舞台に暗躍するズル師は誰か(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
工事が進む(仮称)地域交流センターかもめ荘

工事が進む(仮称)地域交流センターかもめ荘

 佐賀市久保田町。穏やかな田園風景が広がるこの町の「社会福祉法人平成会」を舞台に1つの紛争が起こっている。

 「久保田町で新たな老人施設(仮称)地域交流センターかもめ荘新築工事の建築を行っています。その工事の建設コンサルタントとして雇われたが、非常に困った状態になりました」

 取材に応じた人物(以後、仮にA氏と呼ぶ)はこのように切り出す。平成会は現在、佐賀市久保田町に認可型保育園を併設した老人ホームを建築している。竣工は2017年2月末の予定だ。A氏は、この建築のコンサルタントとして雇われた。建築コンサルとして、設計士(佐賀市)を選定して平成会に紹介、企画段階から設計を手伝い、入札と進んでいった。平成会側はこのプロジェクトを1人の執行理事に任せていた。落札した建設会社は、事前に設計士が執行理事に紹介して入札前から調整が図られていた。その後、入札が行われ、落札予定価格を超えてはいたが再入札を実施することなく設計士が紹介した建設会社が落札、その後この建設会社との間で予算調整を行うことが決定された。その後、A氏は設計士から次のような話を聞いた。「平成会側から建設会社に対して予定価格が伝わっている、コストの調整を行う意味がない」。
 A氏は驚き、平成会の執行理事に道理を説いたという。

 「『社会福祉法人は社会の範となるべき組織であるべきではないか。入札のあり方自体に問題がある。予定価格を特定の建設会社に漏らすなどあってはならない。入札そのものをもう一度やり直すべきだ』私はこのように言いました。当然、執行理事と設計士に入札のやり直しを指示しました。これがよくなかったのでしょうね。結果として私はコンサルタントとしての役割から外されるようになりました」

 予定落札価格の情報漏洩の事実を聞き、それを問い詰めたことでA氏と執行理事との間の信頼関係は大きくそこなわれることとなった。結果、設計並びに工事の助言や進捗管理などの業務から外され、コンサルタントとしての役割を担えなくなったというのだ。平成会に取材をしたところ、事実、A氏とのコンサルタント契約は解除する方向で進んでいるという。執行理事は、16年5月の入札以降、企画設計業務や平成会と建設会社の工事請負契約、その後の工事にA氏をタッチさせず、建物は7月27日の地鎮祭の後に着工している。A氏は言葉を続けた。

 「この執行理事とは15年の8月ごろに知り合いました。知り合った当初は平成会の執行理事ではなく、福岡市早良区にある健康食品・自然食品販売会社の事実上のオーナーでした。その後、執行理事は平成会に入り、現在の役職に就いています。私はこの人物から新たな老人施設の建設予定の話を聞き、コンサルタントとして業務を引き受けることになったのです。この業務の受注の見返りに、執行理事は、住居用のマンションや車両など、さまざまな要求をするようになったのです」

(つづく)
【柳 茂嘉】

 

(中)

関連キーワード

関連記事