2024年04月23日( 火 )

獅子身中の虫~(福)平成会を舞台に暗躍するズル師は誰か(中)

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(社福)平成会が運営する特別養護老人ホーム南鴎荘。この隣で新たな施設がつくられている

(社福)平成会が運営する特別養護老人ホーム南鴎荘。この隣で新たな施設がつくられている

 A氏によると、執行理事はA氏に自身が事実上のオーナーを務めている健康食品・自然食品販売会社の資金繰りが悪化している旨を涙ながらに訴えた。そして2015年9月、A氏は一時的な資金繰りのための短期的な融資として、返金する約束を得たうえで300万円を執行理事に手渡したという。それ以後100万円は返却されたが、金銭の要求は続き、A氏は執行理事が指定した銀行口座に対して金銭を送り続けたという。

 「今後も付き合いを続けていくうえで関係をギクシャクさせるわけにはいかず、要求に応じてきました。その後、執行理事が保有している健康食品販売会社の銀行口座に150万円、執行理事の個人の口座に420万円振り込みました。合計570万円です。一部は融資として貸し付けていますが、それは名目で、事実上のリベートです。将来的に多くの仕事に携わる約束をしていたからこそ、要求を呑んできましたが、契約を撤回されようとしている状態では、将来的な広がりは望めません。返金してほしい旨は何度も執行理事に申し伝えましたが、今も実現されていません」(A氏)

 コンサルタント契約の途中解約が決定したため、A氏にはコンサルタント報酬の返納を求められている。しかし、その金額のうちの多くは執行理事にわたっているため、A氏は執行理事に対して返金を求めているのである。この件については民事調停の場も設けられたが、不調に終わっている。

 事実ならば社会福祉法人の施設新築を食い物にしている執行理事がいるということになる。事実確認のため平成会に問い合わせたところ、執行理事本人に取材をすることができた。執行理事本人の弁は次のようなものだった。

 「新築工事の企画段階からコンサルさん(=A氏)に入ってもらいました。コンサルさんに設計士さんとの間を取り持ってもらっていましたが、結果的に設計士さんと私たちとで直接やりとりすることになりました。コンサルさんとの契約は破棄する方向で進んでいます。破棄の理由はコンサルさんが半端な仕事しかしてくれなかったためです。受ける報告もコンサルさんと設計士さんの間に食い違いがありました。そういうことが重なり、信頼を失い、破棄することになったのです。私が監査役として携わっている健康食品・自然食品販売会社に対して、コンサルさんから融資を受けたことはありますが、それは私が執行理事として平成会に携わる前の話しです。そのお金は、一部は返済してあり、残りはコンサルさんの会社への売掛金と相殺しています。健康食品・自然食品販売会社には私は監査役で入っているだけで、お金の流れはわかりません。もちろん、コンサルさんとの個人的な金銭の授受はありません」。

 ちなみに、この執行理事は健康食品・自然食品販売会社に対しては「監査役として入っているだけで、お金の問題などにはタッチしていない」とコメントしていた。

 同社に取材したところ、同社代表は「お金がコンサルさんから振り込まれていたのは事実だが、それは監査役が扱っていたお金で自分には何のお金かはわかりません。私としてはコンサルさんの売掛金を早く支払ってほしいということだけです」と説明した。お金は振り込まれているが、執行理事も代表もいずれもそのお金の流れを把握していない、ということだったのである。執行理事は「自分は監査役だからお金の流れは知らない」といい、代表は「それは監査役が扱っているお金である」というのだ。明らかに発言に食い違いがある。

 この取材ののち、ふたたびA氏に取材を申し入れ、事実確認を行った。すると、A氏は健康食品・自然食品販売会社が発行した請求書と執行理事の個人の銀行口座への振り込み票を出してきた。請求書を見る限り、健康食品・自然食品販売会社の売掛金と相殺したとしてもそれ以上に同社はA氏に返済しなければならないことがわかる。振込先は同社の口座と執行理事の口座で、お金は確実に執行理事が平成会に携わった後に支払われていた。執行理事の言っている内容と、提示された振り込み票の食い違いを執行理事に質した。すると回答は実におかしなものだったのである。

(つづく)
【柳 茂嘉】

 
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