2024年04月18日( 木 )

親から見放された?~関西地銀3行の経営統合

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 3月3日、三井住友フィナンシャルグループ(FG)とりそなホールディングス(HD)は、系列の関西地銀3行を来年4月を目途に設立する持ち株会社に経営統合することで基本合意したと発表した。経営統合するのは三井住友銀行系列のみなと銀行、関西アーバン銀行の2行と、りそなHDが100%出資している近畿大阪銀行。

経営統合のスケジュールについて

・両グループは統合に向けて「統合準備委員会」を設置し、今年9月末を目処に持ち株会社の名称や本店所在地、役員人事などを詰めることにしている。

・来年4月に持ち株会社の設立を予定しており、持株会社はりそなHDが過半、三井住友銀行が20%程度出資することにしている。そのため持ち株会社はりそなHDの連結子会社となり、三井住友銀行の持分法適用会社となる予定。【別表1】は経営統合する3行の概要である。

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この経営統合の真意は

 日銀の黒田総裁は昨年1月29日、2%のインフレ目標達成のために「マイナス金利政策」の導入を発表したが、この「マイナス金利政策」はメガバンクを始めすべての金融機関の収益に大きな影響を与えている。

 今回の金融統合は双方の思惑が一致したからだと見られている。三井住友FGは国際金融規制への対応が急務となっており、今後業績の悪化が予想される傘下の地銀2行を支援する余裕はないというのが本音ではないだろうか。三井住友FGは持ち株会社に20%出資するものの、順次持ち株比率を減らしていくことにしており、保有株式の見直しを進めて財務基盤の強化を図ろうとしているようだ。

 一方りそなHDにとっては100%出資している近畿大阪銀行の業績をいかに改善していくかが喫緊の経営問題となっていた。持ち株会社に参入する関西アーバン銀行は滋賀県に52店舗。みなと銀行は兵庫県に101店舗。この二行が近畿大阪銀行と経営統合することで、持ち株会社は関西3府県の営業基盤の強化ができる体制が整うことになる。但し、関西アーバン銀行は大阪府内に76店舗、近畿大阪銀行は106店舗と重複するため、店舗の再配置が今後の大きな課題となるが、経営の効率化により収益の改善が進むとの見方をしているようだ。
 近畿大阪銀行の16年12月期の貸出金は、14年3月期の2兆5,557億円から▲1,934億円と大きく減少しており、打つ手がない状況に見える。

 【別表2】は関西の金融中心都市である大阪市と九州の金融中心都市である福岡市における店舗比較表である。福岡銀行と西日本シティ銀行が圧倒的な強さを示しているのが分かる。金融系列を超えた関西地銀3行の経営統合は、今後予想される九州地銀の金融再編のモデルケースとなりそうだ。

 

 系列の2行から手を引く三井住友FG。一方連結子会社に取り込むりそなHD。はたしてこの経営統合はどちらに吉と出るのだろうか。

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

 

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