2024年03月29日( 金 )

安倍首相の致命的な欠点は「うそをつくこと」

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、加計疑惑が深まるなか、真相解明と安倍政権と諮問会議の責任追及を訴えた8月8日付の記事を紹介する。


加計疑惑が一段と深まっている。内閣改造があり、日本ファースト創設のニュースがあり、テレビメディアが「山かけもりそば疑惑」に関する報道を激減させている。安倍首相は国民の目をくらまし、「山かけもりそば疑惑」を逃げの一手で対応しようとし、その指令に沿ってメディアが安倍政治の重大政治腐敗問題に関する報道を激減させている。

しかし、各種世論調査でも、「本年1月20日まで、加計学園が今治市で獣医学部を新設することを知らなかった」との安倍首相の言葉を圧倒的多数の主権者が信用していないことが明らかになっている。安倍首相は構造改革特区で加計学園が獣医学部の新設を求めていることを知っていたことを国会答弁で示してきた。
その安倍首相が、一転して、加計学園による獣医学部新設意向を本年1月まで知らなかったと主張しているのだが、これを信用する者は皆無に近い。

安倍首相の致命的な欠陥は、「うそをつく」ことである。「平気でうそをつく」人間を人は信用しない。これは、稲田朋美氏にもそのままあてはまる。

国会で彼らが実行するのは、官僚が用意した答弁原稿である。ルビを振っていないと、正しく読むことすらできない。彼らの名称は「うそつきリーダー」だ。リーダーと言っても、LeaderではなくReaderだ。

現に閣僚が官僚原稿を棒読みすることに徹すると宣言している。国家戦略特区諮問会議での今治市、および加計学園の行動と会議の経過は以下のとおりだ。

2015年4月2日 
愛媛県今治市の職員2人が「獣医師養成系大学の設置に関する協議」のために首相官邸を訪問。このとき、「複数の加計学園幹部が同行していた」「下村博文文部科学相(当時)が首相官邸で今治市職員および加計学園幹部と面会した」との情報が浮上している。週刊朝日が報じている。
首相官邸では当時、首相秘書官だった経済産業省出身の柳瀬唯夫氏が一行と面会したと見られている。事前のアポなしで今治市職員が首相官邸を訪問できたのは、加計学園サイドのアレンジであった疑いが浮上している。加計学園と安倍首相、下村文科相(当時)のつながりなくして、この官邸訪問は説明できない。

2015年6月5日
「国家戦略特区ワーキンググループヒアリング」で今治市が獣医学部の新設を提案した。このヒアリングに加計学園幹部が出席していたが、公開されている議事録にはこの事実が記載されていない。
そして、議事要旨では、内閣府の藤原豊・地方創生推進室次長(当時)が冒頭、「資料その他、議事内容は公開の扱いでよろしゅうございますでしょうか」と問いかけ、愛媛県の山下一行・地域振興局長(当時)が「はい」と了承したやりとりが掲載されているが、これは事実を改ざんしたものであることが判明した。

WGの八田達夫座長は8月6日、愛媛県・今治市側は当初、非公開を希望していたと説明した。それを本年3月に加計学園疑惑が国会で取り上げられたのちに、議事要旨が公開された。八田座長は、本年1月に、加計学園が今治市に獣医学部をつくることが決まったのを受けて、「できる限りオープンに」との八田氏の判断で議事要旨を公表したと説明しているが、議事要旨が公開されたのは1月ではなく、国会で問題が取り上げられた本年3月である。
そして、その際、今治市が非公開を求めた事実が隠蔽され、公開を了承したように、事実と異なる議事要旨が記載された。

この点について、WGの八田氏と原英史委員が記者会見を開き、原氏が次のように説明した。
ヒアリングの冒頭、

(1)内閣府から議事内容の公開の可否を質問
(2)愛媛県が非公開を希望
(3)内閣府が獣医学部の新設提案自体の公表の可否を質問
(4)県が了承

というやりとりがあり、議事要旨で(2)と(3)のやりとりを削除したため、愛媛県が議事内容の公表を了承したとするやりとりになっている

とした。

このような説明をすることが疑惑をさらに深めている。

「あなたが欲しいのは銅の斧ですか。」
「いいえ。」
「あなたが欲しいのは金の斧ですか。」
「はい。」
というやり取りを、

「あなたが欲しいのは銅の斧ですか。」
「はい。」
と要約したと言っているようなものだ。

諮問会議と安部政権とが一体となって利権政治を行っている。真相を解明し、問うべき責任を厳しく追及しなければならない。

※続きは8月8日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1815号「不毛な代表戦-民進党は水と油に分離すべきだ」で。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』

 

関連記事