2024年03月29日( 金 )

ヨシヒコのぶらり漫歩シリーズ・南北海道は冷夏なり(5)~有珠山爆発で洞爺湖水が枯れるか

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北海道有数の観光名所は有珠山作

 洞爺湖温泉は北海道有数の温泉街であり観光名所である。強みの第1は車で1時間半走れば交通要衝・千歳空港とつながっているという利便性があることだ。第2は洞爺湖の絶景である。この強みを生んだ恩人は有珠山の噴火活動だ。この永年におよぶ噴火活動が洞爺湖界隈に魅力ある自然環境を創造してくれたのである。この自然観光資源に惹かれた人たちが洞爺湖温泉街に押し寄せるようになったのだ。

 有珠山ロープウェーに乗って8分、海抜733メートルの頂上に達する。途中、昭和新山(標高430メートル)を横手に見下げるようになる。この昭和新山は1943年有珠山の激烈な噴火で創成されたものである。この山は、北海道、いや日本で一番、活発な火山かも知れない。周囲を根底から覆すパワーを秘めている。約11万年前の有珠山の噴火で洞爺湖ができたのである。あとで述べるが、この山の今後の活動いかんによっては洞爺湖が消滅する可能性もあるだろう。

 14日の山頂はまた霧に覆われていたので視界が遮られていた。ときたま霧の切れ間から洞爺湖が覗かれる度にため息をついた。湖の中心に島(中島)が浮かび波静かなたたずまいは神湖という印象を抱かせる。逆に洞爺湖から有珠山を眺めると横に昭和新山、小有珠山、明治新山等々が横並びしている光景は神の創作物であることを認識する。ここでいう神とは有珠山の噴火創作活動のことである。プラスの創作もあれば破壊の創作もあるのであることを忘れずに。ついでに、この中島に上陸されることをお奨めする。島散策を短時間でも行えば己の身体に神々が宿ってくれることを知ることになるだろう。

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洞爺湖温泉風前の灯火の危機もあった

 有珠山の噴火活動のお陰で今日の洞爺湖温泉街が形成された。有珠山は恩人であるが、また、この地区を破壊させることもありうる極悪人になる危険性を持っている存在でもある。最近の噴火の例をあげよう。77年山頂の噴火は12,000メートルの上空にまで達した。飛行機に噴石が当たり2枚のガラスが割れる事態となった。この時には洞爺湖温泉街では逃げ惑う人たちでパニックが起こった。2000年の噴火の際には真剣にこの地区住民の総避難が行われた。虻田町・壮瞥町・伊達市の住民たちの非難も完了させたほどの大噴火であったのだ。

洞爺湖消滅もあり得る

 有珠山が約11万年前に噴火するより以前は標高3,000メートル級と言われていた。大噴火して洞爺湖を創作したわけであるから凄い噴火量であったことは想像できる。我が身を削って、山の土台を吹き飛ばしたことで高さが低くなったのである。それだけ有珠山の火山活動が激烈だったということであり、この地区だけではなく北海道もまた地球全体の活動もまた現状を覆いつくす程に活発であったのであろう。

 ジオパークと呼ばれているが、要は何百万年、何十万年の地球の歴史を語る場所という意味である。洞爺湖・有珠山ジオパークでは少なくとも11万年前の有珠山爆発からの遺産歴史財産が数多く横たわっており観光客も向き合うことが容易である場所なのだ。1つ1つの説明を受ければ地球の変動創作活動にはとてもじゃないが人間力の虚しさを痛感する。「人間の繁栄はたまたま地球神がお怒りせずおられたから実現できたのである」と謙虚になれる。

 裏を返すと「地球神の御静かな期間は短い。いついつかにはお怒りの爆発期を迎える」という覚悟が必要である。1977年、2000年の爆発の10倍、100倍の噴火・大爆発の可能性もある。日時の予測は神のみしか分からない。洞爺湖から太平洋まで直線距離で10キロ。谷間に沿って道路が通っている。その谷間周辺に影響を与える1977年の噴火比で100倍の爆発が発生すれば決壊して洞爺湖の水が太平洋に流れ込む事態も想定できる。同湖は一瞬にして枯れ湖に様変わりするであろう。

(つづく)

 
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