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2017年09月13日 14:28

新生サンリブ発足(前)~20年来の宿願実現

 サンリブとマルショク合併により、新生サンリブが発足した。単純合計の売上高は2,080億円とマックスバリュ九州の1,742億円を上回り、九州首位の食品スーパーに躍り出る。合併は1998年、グループ再編で2社体制が発足して以来の悲願だった。だが、実態は熊本地震で経営が悪化し自力再建が困難になったマルショクのサンリブによる救済合併。グループ再編以来の宿願を実現したとはいえ、老朽不採算店の多いマルショクを抱え込むことは新生サンリブに経営上のリスクになる。経営陣のかじ取りが注目される。

とどめを刺した熊本地震

 合併の引き金は昨年4月の熊本地震。熊本市内のくまなん・子飼・健軍・清水の主力4店が被災、大型商業施設のくまなん店は8月末に営業を再開したが、小型総合スーパーの3店は建物が倒壊した。

 マルショクの前期決算はこのあおりで売上高が625億4,600万円と8.8%減少、営業利益は50.1%減の1億8,200万円、経常利益は66.1%減の1億600万円に落ち込んだ。減収分の約60億円は被災による休業によるもので、経常損益では約5億円の減益要因になったとしている。

 災害損失35億5,000万円を計上したことで、最終損益は34億400万円の赤字に転落した。マルショクはただでさえ財務体質が弱く、自己資本比率は11.2%から3.9%に悪化した。銀行は自己資本比率が10%を切ると要注意債権と見なし、融資に厳しくなる。

 マルショクは最盛期には売上高1,100億円を超える九州でも有数の食品スーパーだったが、2000年代に入ると下落の一途をたどった。地元大分県ではスーパーの先発だったため小型で古い店舗が多く、マックスバリュ九州やコスモス薬品、ダイレックスなど後発の県外勢に客を奪われていった。

 07年、08年2月期と2期連続で競争力の低下した店舗の減損損失を計上し最終赤字となり、財務体質が大幅に悪化した。以後は出店もままならず、かといって店舗閉鎖はさらなる財務体質の悪化を招きかねないという悪循環に陥ってしまった。

 経営改革を先送りしてきた経営陣の責任は重い。大量の不採算店閉鎖は出血をともない、サラリーマン社長は自分の短い任期中には行おうとしない。
経営の混乱もあった。11年5月に就任したサンリブ出身の大久保和彦社長はわずか2年で投げ出した。

寿屋がトラウマ

 98年のグループ再編から合併まで20年近くかかったのは、01年に寿屋との「九州大連合」構想が頓挫したことが、長くトラウマとして尾を引いてきたためだ。

 もともとグループの一本化は2社体制になった後、早期に実行に移す計画だったが、合併作業が長引き繰り延べになっていた。

 寿屋を巻き込んだ3社連合でグループ統合を達成するとともに、九州首位に躍り出ることを狙ったが、社内・OB・株主のコンセンサスを得る前に計画がメディアに報道されたため、蜂の巣をつついた騒ぎになった。経営難の寿屋を抱え込むことに社内の一部はもとより、OBと株主が猛反対、当時の総務担当者は「OBや株主が連日会社に詰めかけ仕事にならなかった」と話す。計画を主導したサンリブの三ヶ尻末彦会長と中村照夫社長は翌02年5月、混乱の責任を問われ退任に追い込まれた。中村社長は在任わずか1年だった。

 当時のあるサンリブ取締役は「これでマルショクとの合併はなくなった」と肩を落としていた。寿屋を巻き込んだため、本来優先すべきはずのマルショクとの合併が道連れになってしまった。

 グループを揺るがす騒ぎに懲りた以後の首脳陣は、マルショクとの合併を封印。「話題に持ち出すこと自体はばかられ、一種のタブーになった」と当時の社員は振り返る。

 この間、マルショクの経営環境は一段と厳しさを増す。コスモス薬品やダイレックスの大量出店が続く一方で、16年に大分県食品スーパー3位のマルミヤストアが4位の㈱オーケー(現新鮮マーケット)を買収、売上でもマルショクに肉薄し始めた。将来展望は見えず、自力再建が難しいのは誰の目にも明らかだった。熊本地震がとどめを刺すことになった。

(つづく)

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