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トランプ政権下でいよいよ本格化した官僚機構の反乱(1)

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SNSI・副島国家戦略研究所 中田安彦
2017年12月11日

 トランプ政権が発足してもうすぐ一年を迎えようとしている。そんな中で、今の政権の支持率は急低下し、最新の12月上旬の世論調査では支持率は37%(リアルクリアポリティクス調べ)と過去最低を記録した。共和党支持者のなかでは依然高いものの、以前よりは低い。

 私は、この11月に、『世界権力者図鑑2018』という本を上梓した。この本のなかで、私は、トランプ政権の権力闘争や閣僚や政権幹部、広報担当者に至るまで、派閥分析を徹底的に行なった。ぜひお読みいただきたい。

 トランプ政権を読みとく上で重要な3つの切り口は、(1)カネと利権(2)政治思想とイデオロギー、そして(3)行政と立法府の関係、だと私は思っている。

 カネというのは、彼を選挙戦で応援し、政権入りしたウォール街の金融機関や軍産複合体の関係者と大統領の関係のことであり、イデオロギーというのは、トランプを勝利に導いた、彼の既製権力層(エスタブリッシュメント)とアウトサイダーを極端に対比させて、前者を外部の人間である彼が一掃するという「ポピュリズム」の考え方であり、それに対して、エスタブリッシュメントがどういう反撃をするかの権力闘争も含む。そして行政府と立法府の関係は、もっぱら大統領令以外で政権が政策を実現するには議会の協力を得なくてはならない、ということが関係している。

 現在、三番目の部分については、トランプ大統領は「政策実現のための立法作業の議会工作は上下両院の指導部に任せて、成功したらそれを自分の手柄にする」というズルッこいやりかたをしている。

 この夏に反トランプの共和党員の造反により破綻したと思われた、共和党の選挙公約である、オバマケアの撤廃問題は意外なかたちで共和党に有利に動いている。オバマケアの核である「保険購入の義務付け」を、税制改正法案のなかで免除するという「抱き合わせ」をすることによって、一気に解決してしまったのだ。

(つづく)

<プロフィール>
nakata中田 安彦(なかた・やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。

 
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