2024年04月20日( 土 )

九州地銀の17年9月期(中間)決算を検証する(4)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 【表1】の九州地銀(FG・FH)の2018年3月期(通期)の当期純利益予想の順位表を見ていただきたい。経常収益を公表していないFG・銀行もあるが、経常利益ともほぼ当期純利益予想と同じ動きをしているのがわかる。

この表から見えるもの

◆当期純利益予想の合計は1,229億円3,000万円(前期比(+1,053億円7,700万円)。前期はふくおかFGが543億円の赤字を計上したことから大幅な増益となっている。

◆第1位はふくおかFGで490億円(前期比+1,033億円)を予想している。2017年3月期の当期純利益は熊本銀行と親和銀行の「のれん代」を10年間で毎年92億円償却し、400億円を予想していた。しかし日銀が昨年1月に「マイナス金利政策」の導入を発表。それによって経営環境が厳しくなることから、株式価値の再評価を実施し一括償却したことが要因。

◆第2位は九州FGで210億円。熊本地震の影響を受けて2017年3月期は146億200万円(前期比▲53億8,200万円)となっていたが、前々期並みの当期純利益を計上することになりそうだ。
(注2016年3月期の当期純利益は1,084億71百万円だったが、企業結合による負ののれん発生益884億8,700万円の特別利益を控除)

・第1位と第2位が特別償却の関係で入れ替わっていたが、今後は変動はなさそうだ。ふくおかFGは前期、傘下の熊本銀行と親和銀行(第二地銀の九州銀行を吸収合併)の負ののれん▲920億円を一括償却。一方九州FGは前々期に負ののれん発生益884億87百万円一括償却している。ともに株式の評価損益の処理であるが、第一地銀は含み益、第二地銀は隠れた含み損があるようだ。

◆第3位は西日本FHで200億円。第2位の座を九州FGに譲ることになる。傘下の西日本シティ銀行は単体で305億円。長崎銀行は4億2,000万円の当期純利益を予想している。

◆第4位は単独行の大分銀行で89億円(前期比+13億60万円。第5位は宮崎銀行で85億円(前期比▲7億5,500万円)と順位が入れ替わっているが、はたして逆転はあるのだろうか。

まとめ

 九州地銀で当期純利益が前期比マイナス予想しているのは、西日本FH、宮崎銀行、十八銀行、北九州銀行、宮崎太陽銀行、南日本銀行、福岡中央銀行、豊和銀行、佐賀共栄銀行で、6割以上となっている。全体を見ると地銀の収益は好況に見えるが、個々の計数をよく見ると厳しい状況にあり、金融再編は避けられない状況になっているのがわかる。

 それを裏付けるかのように15日、公取委はふくおかFGと十八銀行の経営統合は無期延期(白紙)とした。その後を追うと見られていた新潟県に本店を置く第四銀行(新潟市)と北越銀行(長岡市)との経営統合を「他にも有力競合行がある」とし、一転して無条件で承認すると発表した。公取委が一歩譲った結着となっており、今後地銀の金融再編は金融庁の思惑通り、加速することになりそうだ。

(了)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

※クリックで拡大

 
(3)

関連記事