2024年04月20日( 土 )

イノベーション志向による『世界で役に立つ企業』へ~富士経営グループ(後)

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 企業再生のプロフェッショナル、そしてパイオニアでもある富士経営グループ。同社設立より40余年、今日までに約700社の企業再生を手がけ、中小企業の再生に尽力し続けている。地元・福岡の地で中小企業の再生・発展など総合的な視野での支援を実施し、“現場第一”の実践的な指南を行う。

豊かな国家づくりという志向

(株)富士経営 崎田 松男 代表取締役

 崎田代表と富士経営が優れているところは、イノベーション志向による事業の構築を、コンサルティングとして他社に提供するだけでなく、自社グループで実践できていることだ。「口だけでは、誰も納得しないでしょう。それなら自分でやることがベスト」(崎田代表)と、幅広いジャンルで自社発信の事業展開を仕掛け、イノベーション志向を実践している。 “スクラップ・アンド・ビルド”を繰り返しながらイノベーションの重要性を明確にし、イノベーションの大切さを中小企業経営階層に伝えている。

 実例を挙げてみよう。1つ目は我が国のお茶の文化を伝承しようという事業である。同社グループ内に(一社)日本文化伝承体験協会を設立し、抹茶を点てる体験を通じて日本文化の素晴らしさを世界に広め、次世代に繋いでいくための活動を行っている。斜陽産業と言われている製茶、陶器・家具の3つの業界が三位一体となって、新たな切り口の事業を興した。抹茶と茶器、茶道具と、それをおさめる木製の箱をセットにして、インバウンド(訪日外客)向けのプロモーション、そして次世代の子どもたちへの茶道体験を含めて推進し、好評を博している。

 2つ目は、「在宅看護で地域に貢献する」というスローガンで同社グループが設立した、(一社)日本訪問看護在宅支援協会だ。今後高齢化社会に向けて国家財政難から全国の病院のベッド数が減少する傾向にあることは、各所で報じられている。その状況に対応するべく、在宅でも手厚い看護サポートを受けられる仕組みを、地域の医療機関などの各所の訪問介護センターが連携してつくり上げ、事業として構築する。その仕組みづくりとサポートを、同協会が推進しているのだ。

 そのほか、電力・エネルギー分野、企業主導型保育分野、農業・漁業・畜産業など、富士経営グループは多岐にわたるジャンルでの事業化を推進し、実践育成を続けている。これを同グループの使命だとしている。

 崎田代表は、「日本の中小企業は、毎年約1万社が倒産、そして約4万社が自然消滅して、市場から姿を消しています。その理由の1つは、大手関係の下請や孫請に甘んじていることではないでしょうか。下請・孫請に甘んじたままで、この先事業を継続し、承継していけるか。要するに“現在の事業の延長線で生き残れるか”ということに対して真剣に取り組んでいるのかどうか、ということです。中小企業が自立した事業をつくり上げていくことが、企業が社会で生き残るとともに、我が国を豊かにし、国民の幸せな生活を実現させると確信しています。本物の事業承継とは、永代に渡り、その時代ごとに必要とされる事業をつくり上げる志向と風土を受け継いでいくことではないでしょうか」と力説する。そのためには、イノベーション志向は不可欠。イノベーション志向に基づいた事業化のお手本を示し、その可能性を伝えていくことが同社グループの使命である。

 イノベーションとは、新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を起こすこと。言い換えると、既存のモノ・仕組みなどに対してまったく新しい技術や考え方を取り入れ、新たな価値を生み出して社会に大きな変革を起こすことである。変化を恐れていては何も生み出せずに終わってしまう。崎田代表は「日本人には、“素直・真面目・一生懸命。そしてできるまでやる”という魂が宿っている。その魂の方向付けをイノベーション志向に振り向けられれば、必ず自立できる」と説く。富士経営グループとデータ・マックスは、イノベーション志向の事業構築について学ぶ新しいかたちの勉強会を立ち上げる予定だ。

(了)
【河原 清明】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:崎田 松男
所在地:福岡市中央区天神2-14-8
設 立:1976年10月
資本金:1億3,500万円
TEL:092-781-7300
URL:http://www.fujikeiei.net

事業内容:経営コンサルティング、M&A、企業再生、後継者育成ほか
グループ企業
(株)富士経営、(株)富士マネージメントアカデミー、(株)富士情報デザイン、(株)富士エコ研究開発、(株)富士投資育成

 
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