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2018年04月16日 11:06

アートフェア東京2018 グローバル化が進む美術!(前)

東京画廊  山本 豊津 代表取締役社長

 3月9日‐11日の3日間、日本最大級の国際的なアート見本市である第13回「アートフェア東京2018」(主催:(一社)アート東京、(株)テレビ東京、(株)BSジャパン)が東京国際フォーラムで開催された。過去最多の164の出展者が集い、大型ブースも増え、古美術・工芸から日本画・近代美術・現代アートまで、多彩で魅力的な展示が行われた。
 絵画を買う場合、これまでは画廊で購入するかオークションで落札するかがほとんどだった。しかし、最近ではインターネットでもオークションや販売が行なわれ、アートを購入する機会や手段が増えた。とくに目立つのが世界各国で開催されるアートフェアでの購入だ。アートフェア東京のシニア・アドバイザーで、出展者でもある、東京画廊 山本豊津社長に聞いた。山本氏は閉幕直後には「アートバーゼル 香港」に飛び、先日帰国した。

164の出展者、来場者6万人で過去最多になった

 ――本日はアートフェアを中心に世界のアート市場で今何が起こっているのかを易しく教えていただきたいと思います。まずは、第13回「アートフェア東京2018」(3.9‐⒒)を振り返っていただけますか。

 山本豊津氏(以下、山本) 「アートフェア東京」は2005年から開催していますが、今年は最も完成されたかたちに近づいたような気がします。出展ギャリーも過去最多の164(17年は150)を数え、来場者も過去最多で6万人(17年は57,800人)を超えました。出展作品の価格も向上し、約2000点以上の作品の中には価格が数億円のものも出品されました。売買も活発に行われ、全体で約29億円(17年は24.5億円)の売上がありました。日本人の場合、億単位は稀ですが、50万~100万円単位の購入は増えました。絵画の購入が身近になってきたともいえます。

縄文土器は世界4大文明より古い世界初の土器

 今回は縄文土器の出品もありました。約1万年前のものが出品される例は世界ではほとんどありません。ヨーロッパ(ギリシャ、ローマなど)で同年代のものは、ほとんど掘り起こされ、市場での売買が稀になっています。縄文土器は出土した時点で完品はほとんどなく、あまり見向きされませんでした。しかし、最近はにわかに「日本の縄文時代」が海外のコレクターから注目されるようになっています。数10万円単位で購入が可能なのも魅力です。2015年5月13日には、ロンドン・サザビーズのオークションで古美術蒐集家、井上恒一氏コレクションの土偶が約2億円で落札され話題になりました。縄文土器は世界の4大文明より古い世界初の土器であり画期的発明なのです。

美術世界で大きな位置を占めるキュレーター

 ――日本の縄文時代が海外で注目されているとは知りませんでした。そのほかにアートフェア東京2018の見どころといえるものはありますか。

 山本 今回初めて、アートフェア東京に、従来の作家・アーティストと店舗・ギャラリーに加えて、キュレーターを登場させました。キュレーションとは、専門領域の知識や情報をたくさん持ち、それらを取捨選択する、つなぎ合わせることで、新たな価値を生むことを言います。

 キュレーターはまさに美術という専門分野において豊富な知識と情報を持ち、それを基に面白い展覧会を企画する存在です。美術の特性として、価値の転換や飛躍があります。しかし、それがひとりよがりで自己満足で終わっていたりするうちは真の価値にはなりません。すなわち、その作品が「美術の歴史のなかでどういう意味をもつのか、社会のなかでどういう意義と意味があるのか」、そうした開かれた視点がなければ多くの人が共有できる価値にはならないわけです。

 キュレーターが日本の美術館などの学芸員と大きく違う点は、アートの歴史や価値を知っているだけでなく、経済や経営、社会学や心理学に至るまで幅広い知識と見識を持ち、企画ができるアイデアマンであるという点です。多くの人を1つのコンセプトのもとにまとめて動かし、組織を運営するマネージャー、プロデューサー、ディレクターとしての能力も求められます。21世紀に入り、展覧会の成否を決めるキュレーターの役割がとくに美術の世界で大きな位置を占めるようになりました。そこで、アートフェア東京でもその養成に乗り出すことにしたのです。今回は大きく2つのケースが披露されました。

 1つ目は、日本を代表する芸術系大学(東京藝術大学、筑波大学、女子美術大学、多摩美術大学、東京造形大学、武蔵野美術大学)の学生キュレーター6名がチームとなって、12名の学生作品を選定、展示制作を行った『Future Artists Tokyo -スイッチルーム‐』です。芸術を志す学生たちが実践的な経験を積むことにより、国際的に活躍する人材を創出することを目的にした試みです。

 2つ目は、9カ国の駐日大使(中国、コロンビア、コンゴ民主共和国、フランス、ハンガリー、イスラエル、ナミビア、スイス、イタリア)が推薦する、各国代表の若手アーティストの国際展『World Art Tokyo‐パンゲア・テクトニクス‐』です。この国際展のキュレ―ションを東京藝術大学大学院生(国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻)の黒沢聖覇さんがチャレンジしました。

(つづく)
【金木 亮憲】

<プロフィール>
山本 豊津(やまもと・ほづ)
 東京画廊 代表取締役社長。1948年東京生まれ。1971年武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業。元大蔵大臣村山達雄秘書。2014年、15年、18年に「アートバーゼル 香港」、2015年に「アートバーゼル スイス」へ出展して、日本の現代美術を紹介。アートフェア東京のシニア・アドバイザー、全銀座会の催事委員など多くのプロジェクトを手がける。2002年には、弟の田畑幸人氏が北京にB.T.A.P(BEIJING TOKYO ART PROJECTS)をオープンした。主な著書として、『アートは資本主義の行方を予言する』(PHP新書)、『コレクションと資本主義』(共著・角川新書)など。

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