2024年04月20日( 土 )

疲弊する地銀~生き残りを賭けて経営統合(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

1.地銀の金融再編の動きについて

 日銀が掲げる2%の物価上昇目標はいまだに達成できる見通しもないまま、マイナス金利政策を継続していることで、預貸金の利ザヤで儲けている地銀の収益は大きく縮小している。

・また人口や企業数の減少で地方経済は疲弊し、地銀の体力は落ちている。貸出しの利ザヤが伸び悩み、「本業」が赤字に陥る銀行は増えていく状況になっている。地銀の経営基盤が弱体化すれば、地方の金融サービス維持に支障が出かねない。それを防止するために金融庁は日銀がマイナス金利政策を導入した2016年2月16日以降、地銀の金融再編を積極的に推進しているのがわかる。【表1】を見ていただきたい。

※クリックで拡大

<2016年4月1日>
◆地銀大手の横浜銀行(神奈川県横浜市)と第二地銀の東日本銀行(東京都中央区)が経営統合して「コンコルディア・フィナンシャルグループ(東京都中央区)」(以下、FG)が発足。横浜銀行が東京での拠点を確保するために東日本銀行を救済したというのが実態のようだ。

◆四国の香川銀行、徳島銀行を傘下にもつ「トモニホールディングス(香川県高松市)」以下HD)に、大阪を地盤とする大正銀行(大阪市)が合流。ともに第二地銀同士の経営統合。

<2016年10月1日>
◆1990年代後半から2000年初頭の金融危機で一時国有化された栃木県の足利銀行(栃木県宇都宮市)と、茨城県の常陽銀行(茨城県水戸市)が「めぶきFG」を設立。広域合併で生き残りをかけている。

<2016年10月3日>
◆西日本シティ銀行を傘下にもつ「西日本フィナンシャルホールディングス(福岡市)」(以下FH)は、第二地銀の長崎銀行(長崎市)を100%子会社にして救済。

<2017年4月1日~無期延期>
◆2016年2月26日、ふくおかFGと十八銀行が経営統合することで基本合意。最終目標は長年ライバル関係にあった十八銀行と親和銀行が2018年4月1日に合併予定としていた。長崎県に預貸金シェアが70%を超える銀行の誕生は九州の地銀だけではなく、全国の地銀に「経営統合はいつどこでもありき」との憶測を呼ぶことになった。
 しかし公正取引委員会が寡占の弊害懸念を指摘し審査は難航。そのためふくおかFGと十八銀行は2017年1月20日、経営統合を半年延期したが、さらに7月25日、公取委の審査が長期化していることから、無期限での統合延期を発表。現在も継続審査中となっている。

<2018年4月1日>
・近畿大阪銀行(大阪市)を傘下にもつ「関西みらいFG(大阪市中央区)」に関西アーバン銀行(大阪市)、みなと銀行(兵庫県神戸市)の2行が経営統合に参加。単独では都銀との競争に生き残れない状況にあることがわかる。

<2018年5月1日>
◆東京都を主な地盤とする東京都民銀行・八千代銀行・新銀行東京の3行が合併し、東京きらぼし銀行となり、それを傘下にする「東京きらぼしFG」を設立している。合併により経費を節減し、規
規の拡大で生き残る道を選んだようだ。

<2018年10月1日>
◆新潟県の第四銀行(新潟市)と北越銀行(新潟県長岡市)が経営統合する。ともに第一地銀。残された第二地銀の大光銀行は広域合併を模索するものと思われる。今後地銀同士の合従連衡は加速していくことになりそうだ。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

 
(中)

関連記事