福岡ソフトバンクホークス(株) スカウト部長 小川 一夫
<若鷹軍団を陰で支える「スカウトの神様」>
九州の野球ファンの期待を一身に背負う福岡ソフトバンクホークス(以下、SH)。一昨年はリーグ最下位という苦杯をなめ、奮起が期待された昨年もプレーオフ1回戦で楽天イーグルスに破れた。「色あせた常勝若鷹軍団の輝きを取り戻して欲しい」との願いは、ファンのみならず九州人の一致する思いではないだろうか。王監督から秋山監督へと首脳陣が変わり、組織体制も再構築が図られている。
そのSHで人材発掘を一手に担うのが小川一夫スカウト部長だ。小川氏は1954年4月生まれの56歳。戸畑商業高校から1972年のドラフト指名で南海ホークス入りし、キャッチャーを務めた経験を持つ。当時の南海は、ID野球(当時は「シンキングベースボール」)の野村克也氏、ドカベン・門田博光氏、豪腕・江夏豊氏など、スター選手を多く擁する人気球団であった。選手としては活躍の場に恵まれなかった小川氏だが、人気球団でのプロ選手としての経験は、同氏に「プロ野球人とはどうあるべきか」を思い巡らせる機会をもたらしたようだ。
キラ星のような名選手を目の当たりにし続けた同氏は、自らの才能をスカウトとして花開かせることになる。転身は南海がダイエーホークスとなった1989年のこと。若い才能を求めて九州各地をくまなく巡り歩いた同氏は、城島健司捕手、杉内俊哉投手、川崎宗則内野手、本多雄一内野手ら、スター選手を数多く発掘していった。ベテラン・若手を織り交ぜた皆が主力級のそうそうたる顔ぶれ。なかでもメジャーにまで上り詰めた城島選手を見出した小川氏の慧眼は「スカウトの神様」として高い評価を受けている。
<若者の内なる部分を見る>
その小川氏に、昨今の若者はどう写るのだろうか。「若者の内なる部分を見るのが、プロのスカウトの目だといえます。今の子供たちは非常に難しい環境に置かれているせいか、20年前の子供達に備わっていたものを備えていません。例えば、以前なら『プロ意識』を持つ子にプロとしての環境を与えれば、あとは自分で育っていきました。しかし、今の子供たちにそのような意識はありません。そのままでスカウトの目に適う人材は皆無という状況です。それでも連れて来なければ育たないのですから、次はどうやって育てるかを真剣に考えることになります。これだけの運動量と身体作りに回すエネルギーを得るためにはこの程度の食事量が必要だ、というように具体的に教え込んでいくのです。そうなると、教える側にも体系だった知識や説得力が必要です。理論化・体系化された知識と明快な理由の下での指導であれば若い選手も従いますし、その中で徐々にプロ意識を根付かせていくわけです」との小川氏の言葉には、現代っ子を教え導くための教訓が満ち溢れているように思われる。
最後に、「駆け出しの頃から選手を見つめてきた小川氏が注目しているSHの選手は?」との質問に田上選手と本多選手を挙げる。「田上は頼もしい存在になってきました。謙虚でありながらも大人しくは無く、真摯に野球に取り組んできた成果が昨年26本塁打につながりましたし、正捕手としての自覚が出てきています。本多選手は守備での安定感と素晴らしい俊足が持ち味です。足を活かすには出塁率を上げる必要がありますが、苦手にしていた左投手の克服も進んでいます。今後、中核のひとりになってくれると期待しています」(小川氏)。
<プロフィール>
小川 一夫(おがわ かずお)
1954年4月生まれ。戸畑商業高校から1972年にドラフト5位で南海ホークスへ入団。1978年に引退後、フロントへ転身。現在は福岡ソフトバンクホークスのスカウト部長を務める。
<会社概要>
福岡ソフトバンクホークス(株)
代表者:笠井 和彦
所在地:福岡市中央区地行浜2-2-2
設 置:1969年3月
URL:http://www.softbankhawks.co.jp/
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