ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

経済小説

「維新銀行」~第一部 夜明け前(54)
経済小説
2012年6月 8日 13:50

<第五章 谷本次期頭取誕生の軌跡>

協力者たちとの絆(10)

bgns_7.jpg 栗野は谷本から飲みに誘われた翌日から山上に協力するため、取引先の親しい社長数名に生命保険加入の勧誘を始めた。栗野は繊維の卸会社営む社長に対し、「今、生命保険に入っていると思いますが、死亡した場合受取金額はいくらですか」と単刀直入に聞くと、当初は返答に躊躇していた社長から、徐に「2,000万円」との返事が返って来た。
 栗野は「社長、そんな金額でいいんですか。社長の会社は社長でもっているようなもんですよ。もし社長が病気で倒れたら後どうするんです。市内で最大手の繊維会社の社長が、たったの2,000万円の保険では駄目ですよ。後を息子さんに継がせるまで、まだ相当かかります。社長はまだ若いので将来の退職金の支払いも相当な金額必要になります。そのための用意に企業を受取りとする生命保険に加入しておけば、退職金や弔慰金として支払いができます。やはり増額が必要と思いますよ」と一気に話して、社長の反応を待った。
 栗野の話を聞いた社長は、栗野が自分の会社のことを考えてくれているのかとの思いもあり、「何か良い保険でもあるかね」と栗野の話に興味を示すと、すかさず栗野は「詳しいことは第五生命の山上さんを紹介するので話を聞いてみたらどうですか。」と、あらかじめ山上から聞いている日程と社長の日程を調整して、面談を実現させていった。

 栗野はこの繊維会社の社長を皮切りに、何社かの社長に同じような方法で声を掛けていった。
数名の社長から面談の了解を取り付けた栗野は、山上に同伴し保険勧誘の仲介の労を取ること惜しまなかった。山上は事前に栗野から聞いていた会社の売上高などの企業内容を参考に作成した資料を見せながら、「御社のような立派な会社は5,000万円以上の保険金が絶対に必要です」と説明。山上は社長から「前向きに考えます」と好意的な返答を受けると、その日の契約を急ぐことなく、次の面談日を約束して会社を後にした。

 山上は東南市の営業部に戻る電車の中で、バッグから便箋と万年筆を取り出し、お礼の手紙を出すことを契約成立の秘策にしていた。それには「○○社長様  本日は維新銀行の栗野様のご紹介を賜り、お会いすることができました。貴重なお時間を戴き誠に有難うございました。御社のような素晴らしい会社との末長いお付き合いが今後末永く出来ますよう、心からお祈り申し上げます。これから暑くなって参りますが、くれぐれもお体をご自愛下さいませ。山上正代」と直筆したものを封筒に入れて、即日発送することを怠らなかった。その効果は抜群であった。この手紙を受け取った社長は、山上の再訪問の日には保険契約にサインするようになっていった。
 谷本は、山上から栗野の紹介によって保険契約が順調に取れているとの報告を受けて、栗野を一層可愛がるようになっていった。自分が育てた元組合幹部達の保険勧誘とは違う、別ルートの絆が結ばれることになった。

(つづく)
【北山 譲】

≪ (53) | (55) ≫

「この作品はフィクションであり、登場する企業、団体、人物設定等については特定したものでありません」

▼関連リンク
・「維新銀行」~第一部 夜明け前(1)


※記事へのご意見はこちら

経済小説一覧
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル