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アメリカに学ぶ日本の弱点(3)~シンクタンク
政治
2013年2月 5日 11:38

<議員スタッフは大所帯>
kokkai.jpg 日本の場合、国会議員のスタッフ機能はアメリカほどに強くない。アメリカの下院議員は公設秘書を17人前後抱えており、上院議員になると70人以上の秘書を持つケースもある。すべて税金で給料が支払われているが、大人数だからといって、質的に劣ることはない。さまざまなキャリアを持つ政策のエキスパートが議員の脇を固めているのだ。
 久保教授は「日本の公設秘書は、2人から3人に増設されましたが、増えた分は機能していないと言っていい。選挙活動の手伝いが一人増えただけ」と手厳しい。
 長い蓄積を持つアメリカ的システムをすぐに導入することはできないだろうが、日本でも、シンクタンクを質的に強化するなど、政策立案能力を高めていく必要はある。

 改善策はあるのか。「民主党の場合、政党助成金が与党時の12年度で170億円程度、自民党には13年度で約145億5,000万円が交付されていた。そのうちの5%程度をシンクタンクに政策の研究をさせるために使ったり、政策研究のみを行う機関を作り、官僚のOBなどに研究員として働いてもらうなどのアイデアはある。官僚にとってもキャリア形成の道ができ、国民全体の利益につながると思う」と久保教授は語る。官業癒着による天下りを減らし、政策の客観性と質を高めることにもつながるという。

<公認候補を選べる「予備選挙」>
 アメリカと日本の選挙制度の違いの1つに、「予備選挙」の存在がある。アメリカでは、有権者登録をしないと選挙権を得られない。登録する際に、どの政党に所属するかを選ぶことになっており、有権者はそこで選んだ政党の党員になる。

 予備選挙では、公認候補を党員が選ぶが、この党員の選挙で1位になった人が公認候補となる。日本では、政党内の主流派の意見に反する人は、国民の支持を得ていても、候補者として公認されないことがある。

 「党首に公認候補の決定権がなく、党のまとまりを欠く場合があるというデメリットもありますが、より分権化されている」(久保教授)。この予備選挙の存在は、アメリカの政治家がよりオープンで、国民(党員)に近いところにいる、ということにつながっている。

(つづく)
【岩下 昌弘】

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<プロフィール>
kubo_pr.jpg久保 文明 (くぼ ふみあき)
1956年生まれ。政治学者。東京大学法学部外業後、1993年より慶応義塾大学法学部教授を経て、2003年より東京大学大学院法学政治学研究科教授。アメリカ政治に詳しく、アメリカ学会副会長、東京財団上席研究員などを兼任する。著書に「現代アメリカ政治と公共利益―環境保護をめぐる政治過程」(東京大学出版会)、「アメリカ政治を支えるもの―政治的インフラストラクチャーの研究」(国際問題研究所)など。


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