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アメリカに学ぶ日本の弱点(4)~民意から遠い日本の政治
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2013年2月 6日 14:25

 強い日本を取り戻すための課題とは。アメリカや、日本と同じ議院内閣制のイギリスと比較しながら日本の問題点、弱点を考える。東京大学法学部の久保文明教授に聞いた。

<民意から遠い日本の政治>
kokkai.jpg 技術は一流、政治は五流(諸説あり)と、揶揄されることもある日本の政治。日本では、国民全体の支持よりも、永田町での限られた人間関係が力を持っていることがある。
 一般市民よりも、限られた人間の支持が選挙で勝つために必要だったりする。選挙で勝つために、街頭演説よりも、有力者への支持の取り付けが、重要視されることも多い。

 アメリカでは、大統領選挙があり、国民全体を政治に巻き込む。逆に政治家にとっても、国民に語りかける「演説」が重要とされ、国民に語りかけることで、メッセージを打ち出す政治家が多い。

 公認候補を政党が決める日本では、永田町での動きが中心。保守派の共和党、リベラル派の民主党で価値観の違いがくっきりしているアメリカに比べ、政党の価値観の違いが曖昧なのも日本の特徴。民主党を離党して自民党に移った議員がいたりする。選挙前の世論の雰囲気が、政党支持率を大きく変えることもある。

<永田町の動き重視、組織選挙が強い日本>
 政党、組織の声、永田町の動きが政治に反映されやすい日本に対し、国民(党員)が公認候補を予備選挙で決めるアメリカでは、国民の声がより政治に反映されやすい。
 先の衆院選の例を挙げると、脱原発が争点となった東京8区(杉並区)で、無所属の山本太郎候補が街頭演説で杉並区民に熱心に語りかけていたのに対し、自民党の石原伸晃候補(当選後、環境大臣)は、後援会、業界団体を中心に巡り、がっちり組織を固めて当選。東京8区に限らず、国民と語るのではなく、永田町や業界団体、組織を固めれば選挙に勝ちやすい。組織型選挙が強いのは、日本の政治が国民から遠い要因。国民の声よりも業界団体の要望が政治に届きやすいのは日本の政治の改善すべき難点だろう。

 イギリスの場合は、政党の力が強く、中央集権的。政党が、「この人を勝たせたい」と思えば、確実に勝てる安全な選挙区から立候補させることもある。議員と地元との結びつきは薄いと言える。アメリカの場合は、地元とのつながりが強い。徹底的なローカリズムを貫く。久保教授は「アメリカのやり方がすべてではない。日本は、むしろイギリス的に行く手もある。政党がまだイギリスほどには強くないということでもある。予備選挙は、試みとしてあってもいい。比例代表制で、順位に差を付けるなどして、可能性のある政治家を育てるというアイデアもある」と、語った。

(つづく)
【岩下 昌弘】

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<プロフィール>
kubo_pr.jpg久保 文明 (くぼ ふみあき)
1956年生まれ。政治学者。東京大学法学部外業後、1993年より慶応義塾大学法学部教授を経て、2003年より東京大学大学院法学政治学研究科教授。アメリカ政治に詳しく、アメリカ学会副会長、東京財団上席研究員などを兼任する。著書に「現代アメリカ政治と公共利益―環境保護をめぐる政治過程」(東京大学出版会)、「アメリカ政治を支えるもの―政治的インフラストラクチャーの研究」(国際問題研究所)など。


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