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尖閣問題、中国・安全保障の専門家は?(3)
政治
2013年3月 1日 07:00

<「安全保障とは何か」>
 安全保障という言葉に対して各国が抱く概念には、それぞれの国の持つ歴史的な背景、環境が絡んでくる。安田淳教授いわく、「何から何を、どうやって守るか」というのが、最大公約数的な安全保障の概念だが、国によって、その事情は、若干異なる。

yasuda.jpg 日本にとっては、日本固有の国土と国民の生命、財産を守ることが、安全保障だが、中国では少し違う。「中国という国が、"何から何を、どうやって守ろうとしているか"を考えてみると、日本人の感覚から外れるところがある。中国では、国民の生命、財産、領土もそうだが、それに加えて、共産党の地位、存在も守らなければならない。さらには、多民族国家で、外敵からだけでなく、国内にも敵がいる」(安田教授)。多数を占める漢民族からしてみると、内なる敵も抱えているのが、中国国内の事情。それらの内なる敵の不満をかわすために、経済発展の勢いを止めるわけにはいかない。そのためには、エネルギーが必要で、資源を積極的に獲得しに走らなければならない。

 安田教授は、「中国では、エネルギーの獲得という部分も安全保障の"守る"という概念に含まれる。日本人は、守るというと、現状を維持したり、領土の安全を守ったり、現在あるものを変更しないという概念で捉えているが、彼らにとっては、"取る"ということも安全保障のなかに含まれる」と、中国と日本の安全保障="守る"という感覚にズレがあることを指摘する。

<「取る」「取り戻す」ことも安全保障>
 この感覚のズレを埋めていていかなければ、日中関係の溝は埋まらない。中国にとっては、歴史的な経緯から、「取り戻す」という概念も安全保障、つまりは「守る」という意味のなかに含まれる。
 中国は、清の時代、1840年のアヘン戦争以降、欧米列強に国土を奪われ、割譲してきた。「国土を取られた」という意識のなかにいるという。長期的な感覚で世界を見た場合、中国の「取られた」という認識のなかに、尖閣諸島も含まれている。尖閣諸島は1895年、明治政府の閣議決定により、正式に日本が領有を決定した。1885年から現地調査を行ない、清国の支配がおよんでいる痕跡がないことを確認したうえで日本の領土に編入。この行為は、国際法上、正当に領有権を取得する手法に合致する。中国側は、日清戦争中、明治政府が勝利を見通せる時期になり、それに乗じて尖閣諸島を「取った」と主張している。

 安田教授は、「外から見たら攻撃的に見えるが、向こうは正しいと思っている。認識にギャップがある。今の中国は列強に虐げられてきたという思いをバネにして立っており、彼らのなかには、自らの発展を妨げるものを取り除いたり、障害を乗り越えたりすることも"守る"という概念のなかに含まれている。平和的に解決しようという発想ももちろん持ってはいるが、その障壁を軍事力によって除去でき、それが効率的であると判断した場合には、軍事的な力を使うこともためらわない」と、日本人の感覚とはギャップがあることを指摘した。

(つづく)
【岩下 昌弘】

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<プロフィール>
yasuda_pr.jpg安田 淳(やすだ じゅん)
慶応義塾大学法学部教授。専門分野は、国際関係論。専攻領域は、現代中国の安全保障、軍事。1983年、慶応義塾大学法学部卒業。89年、慶応義塾大学法学部博士課程単位取得退学。防衛庁防衛研究所、防衛庁教官を経て、99年に慶応義塾大学助教授。05年より現職。


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