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朝倉スイゼンジノリ 寛政5年創業、老舗養殖17代目の訴えは届くか(前)
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2013年10月 1日 14:54

 スイゼンジノリは日本固有のラン藻類で、江戸時代から高級食材として珍重された。もとは熊本県や久留米市の川にも自生していたが、環境の変化により、現在は朝倉市の2業者が養殖する黄金川でしか自生できない。環境省のレッドリストで最も絶滅の恐れが強いグループに分類されている。黄金川での収穫量は最盛期に年間約200トンあったが、現在は約20トン。企業努力ではどうしようもできない限界を迎えている。これまでどうにかしのいできたが、10月10日に従業員9名を全員解雇し、その後の生き残り策を考えている。「自治体、民間業者に協力を要請したい」と話す遠藤金川堂17代目遠藤淳氏に聞いた。

 通称は川茸(かわたけ)。生ものは透明感のある緑。食感が面白く、爽やかさが口に広がる。百貨店、関東や関西の料亭でも提供されている夏を感じる逸品だ。

スイゼンジノリスイゼンジノリの養殖場

<収穫量減少の要因は>
 原因は黄金川の水量の減少と水質の悪化。上流の寺内ダム完成後から水量が減少し始めた。ただし、因果関係がはっきり証明されたわけではないため、自治体の腰は重い。朝倉市への陳情は先代の時代から行なわれていたが、市はなかなか重い腰を上げなかった。今年7月から河川環境の改善などを求める署名を集め、8月2日森田俊介朝倉市長に陳情書と改善要望を提出。ようやく思いが伝わり、10月3日に市長が現地視察に入ることになった。

<黄金川の現状>
ponpu.jpg 全長約2キロの黄金川。上流に地下水を汲み上げるポンプを設置し、下流に向かって水を流し川は維持されている。以前は地下から自然に湧き出ていたのだが、地下水の減少と同時に、川の水量も減少、川幅も狭くなっていった。そこで、養殖業者がポンプを設置し、水量が少ないときに一時的にポンプを動かしていた。しかし、現在では24時間ポンプで汲み上げないと、川が枯れてしまうまでに水量が減ってしまっている。地下水の汲み上げにかかる費用は1カ月に30万円以上。これまではどうにか存続に向けて、企業努力を続けてきたが、限界を迎えている。廃業することでポンプを止めると、黄金川が消え、スイゼンジノリは死滅する。

<環境改善に向けて>
damu.jpg 上流にある寺内ダムと黄金川は直接繋がっていないが、ダム完成後に黄金川の水量がみるみる減少したことからどこか地下でつながっているとみられる。ダムの水は貯水であるので、それほどきれいではなく、ただ放流すればいいというものではない。遠藤氏は「ダムの水を地下へ流して地表に湧き出るようなシステムを検討してほしい」と独立行政法人水資源機構に提案している。しかし、同機構はダム建設と黄金川水量の減少の因果関係が認められないとして、「現在、協力できることはない」としている。また市の判断だけで、水資源の用途を変更する事はできない。「ダムの水は用途が決まった水、自由に使えるわけではないのは十分に理解しているが・・・」と遠藤氏。

(つづく)
【東城 洋平】

| (後) ≫

<COMPANY INFORMATION>
合資会社 川茸元祖 遠藤金川堂
所在地:福岡県朝倉市屋永2949
TEL:0946-22-2715
FAX:0946-22-0707
URL:http://kawatake-endo.com/

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