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コダマの核心

武田薬品に初の外国人社長、M&Aの標的になる!(後)
コダマの核心
2013年12月 4日 07:00

<外国人経営者を次々とスカウト>
 長谷川社長はウェバー氏を招聘した理由について、「ウェバー氏は新興国を含め世界で多様な経験を持っており、武田が次のステップに進むためのリーダーにふさわしいと判断した」と語る。ウェバー氏は3大陸7カ国を渡り歩き、アジア太平洋地域担当上級副社長兼地域ディレクターとして新興国市場で商売してきた経験がある。
 長谷川社長はグローバル化を推し進めるべく、次々と外国人経営者をスカウトしてきた。日本の製薬大手の研究開発者が外国人であることは珍しくないが、武田薬品は研究開発にとどまらない。

 9月2日に新設されたCFO(最高財務責任者)には、フランス人のフランソワ・ロジェ氏(51)が就いた。25年超にわたり食品、通信、医薬品業界で過ごし、大型買収を経験し、メキシコから南アフリカ、さらにルクセンブルグと世界各地を駆け回った。ルクセンブルグの携帯通信会社ミリコム・インターナショナル・セルラーのCFOからスカウトされた。
 武田薬品は、世界のメガファーマに収益力を追いつくためのプロジェクト「グローバル・サミット」を推進中だが、そこで重要な役割を担うCPO(調達責任者)も12月に、世界2位のスイス製薬大手ノバルティスからフィリップ・ダンカン氏を迎え入れる。
 これで、武田薬品は経営、財務、調達、研究開発のトップはすべて外国人になる。経営中枢はいち早く、グローバル化するわけだ。

<政府から再編を迫られる>
b_6.jpg 今年4月、産業競争力会議で菅義偉・内閣官房長官が「日本の製薬企業は欧米に比べて数が多く、規模が小さい。研究開発費が巨額になるなか、そこが弱点になっている。再編を進めるなど民間側も努力してほしい」と爆弾発言して、製薬業界の大きな話題になった。
 長谷川社長は産業競争力会議のメンバーだ。武田薬品に、再編の先頭に立てと檄を飛ばしたと受け取られた。

 国内では最大手の武田薬品だが、世界の壁は厚い。ナイコメッドを買収後も、武田薬品は悲願としてきたベスト10位入りに手が届かず、準メガファーマ扱いだ。
 『会社四季報 業界地図2014年版』によると医薬品の売上高は、ファイザー(米)の4兆8,653億円をトップに、ノバルティス(スイス)、メルク(米)、ロシュ(スイス)、サノフィ(仏)の順。武田薬品、アステラス製薬、第一三共の国内大手3社の売上は3兆5,606億円。3社が束になって、やっと6位のクラクソ・スミスクラインと肩を並べる。再編に出遅れた武田薬品のメガファーマへの道はまだ、はるか彼方だ。

<武田薬品は欧米のメガファーマに狙われる>
 欧米の製薬企業は80年代後半から90年代前半にかけてM&Aを繰り返し、その規模を拡大してきた。こうした動きも一時鎮静化するかに見えたが、90年代後半から2000年代前半にかけて国境を超えた再編の嵐が吹き荒れて、業界地図が一変した。
 ファイザー(米)は2000年にワーナーランバード(米)を、02年にファルマシア(米)を買収して巨大化の道を進み、世界最大のメガファーマになった。
 今後、さらなるM&Aの幕があがるのは確実だろう。世界の大手メーカーは、2010年前後に自社のブロックバスターの米国での特許が相次いで失効したためだ。トップのファイザーは最主力製品の高脂血症薬リピトールの特許が切れて、1割以上の減収になった。

 特許失効か響く欧米のメガファーマにとって、成長軌道に戻す手法は、得意とするM&Aである。外国人経営者で占められる武田薬品は、欧米のメガファーマのM&Aの格好なターゲットになる。

(了)

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<COMPANY INFORMATION>
武田薬品工業(株)
代 表:長谷川 閑史
所在地:大阪市中央区道修町4-1-1
設 立:1925年1月
資本金:636億円
売上高:(13/3連結)1兆5,572億6,700万円


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