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韓国経済ウォッチ~韓中日の経済状況
経済
2014年3月31日 09:40
日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

<韓国の経済状況>
 ご存知のように、韓国経済と産業は、先進国のどの国でも例のないような短期間に成長を成し遂げた数少ない例である。朝鮮戦争後の何もない焼け野原から、韓国は世界最高水準の製造業の基盤を構築し、2012年度には世界で9番目に輸出・輸入の合計額が1兆ドルを超えることになった。文字通り、廃墟から今の発展を達成したのだ。

 このように韓国の経済は短期間に急激に発展し、世界的にも地位は高くなっているにもかかわらず、どういうわけか韓国社会の未来を懸念する声も大きくなりつつある。

 韓国人の大多数の暮らしは厳しくなっているし、幸せを感じる人よりも不平と不満を漏らす人が多くなっている。一言で言うと、すべての年齢と階層において未来に不安を抱いている。また、大手企業と中小企業、正社員と契約社員・自営業者、輸出企業と内需・サービス業企業間の格差が拡大している。中産層が減少しているだけでなく、階層間のハードルも高くなり、階層間の移動も難しいのが現状である。さらに、成長と雇用の結びつきも弱くなっており、職を探すのも難しく、とくに若者の失業率は高止まりしている(8.3%、12年度)。
 このように不安定な社長環境下では、国民はもっと福祉を期待するようになる。福祉政策をめぐって与党と野党の対立も深まっており、一部の政治家は無責任な政策で国民に迎合しようとしている。

日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏 このような状況のなかで何よりも心配なことは、韓国経済を牽引していた産業がその力を失いつつあるなかで、次世代を引っ張って行く産業が見当たらないという点である。追い討ちをかけるように、韓国社会は労働人口が減少する高齢化社会にこれから入ることになる。そのため、10年後には超高齢化社会になるのは間違いないという問題も抱えている。
 したがって韓国は、10年以内に新しい成長エンジンを見つけ出さない限り、事実上、先進国入りは難しくなるだろう。韓国経済は先進国入りを果たすか、それともその入り口で挫折するか、その分岐点に立たされている。

<中国の状況>
 中国と日本も、韓国と同じく大きな変化が予想される時期にさしかかっている。

 韓国経済に一番大きな影響をおよぼすようになっている中国(輸出輸入の合計額は中国2,206億ドル日本1,079億ドル米国1,007億ドル、2012年度)は、生産要素投入中心の成長、投資・輸出中心の成長、資源・環境消耗型の成長をしてきているが、その成長は限界に達しており、成長戦略の大幅修正が求められる時期に来ている。生産的な要素への投入中心の成長からすべての要素の生産性を重視した成長へ、投資・輸出中心の成長から内需とバランスの取れた成長へ、そして、資源・環境消耗型の成長から省エネで環境に優しい成長への転換が必要である。
 その間、飛躍的な発展に貢献した中国政府の役割は、むしろ副作用の方が大きくなり、政府と民間の役割の調整が必要であるうえ、国営企業の縮小、労働・金融など生産要素の改革など、経済システムの改革も緊急を要している。改革に成功するか失敗するかによって、中国の未来は決定されるだろう。

 その結果は、韓国にも大きな影響をおよぼすことになる。中国の産業は飛躍的な発展を重ね、まもなく組み立て完成品の市場で韓国と日本を脅かす存在になるだろう。さらに究極的には、世界的に競争力を持つようになるのは必至である。しかし、部品・素材・装置分野では、まだ中国と日本・韓国の格差は縮まっていない。したがって、この分野ではまだ韓国にとってはチャンスが残されている。

<日本の状況>
 日本も中国と韓国のように、大きな変化を控えている。日本は80年代に、最高の全盛期を謳歌した。製造業の分野では、日本に太刀打ちできる国はいなかった。
 ソニー・松下・シャープのような電機メーカーとトヨタ・日産などの自動車メーカは、世界を席巻した。しかし、日本は90年代の始めに不動産バブルがはじけ、下り坂を降りてきた。失われた20年が始まったのである。
 ゆっくり進んでいた日本の衰弱は、2008年になって世界経済危機が発生することにより、少し顕著になり、11年度の東北大地震により深刻な状況になった。既存の高齢化、内部革新の失敗に加えて、自然災害により、電力料金の値上げと製造拠点としての不安定さなどが加わり、日本の製造拠点としての役割は著しく低下した。
 しかし、日本は痛みをともなう構造改革、競争力のある産業を中心とした産業再編、規模経済の実現を通じて、返り咲きを試みている。最近話題になっているアベノミクスも、過去の栄光を取り戻すための努力であろう。日本のこのような変化は、韓・中・日の分業構造に大きな変化をもたらすだけでなく、韓国経済に甚大な影響をおよぼすことになるだろう。

 既存の韓・中・日の分業構造は、基本的に相互補完的であった。日本はハイテク、韓国はミドルテク、中国はローテク分野に力を入れていて、競争というよりは強調的な分業構造であった。
 しかし、これからは協調よりも競争になる可能性が高いことに加え、近いうちに組み立て完成品市場で、日本・中国・韓国は生き残りをかけた真剣勝負をしなければならなくなるだろう。日本・中国・韓国は、世界の製造拠点の役割を果たしており、各国の主力産業も似通っている。したがって、三国間の競争で勝った国は世界を制覇することになるだろうし、そこで負けた国は表舞台から徐々に消えていくだろう。

 文中でそれぞれ言及してきたように、三国は内部革新を控えており、それに成功した国はさらなる飛躍を成し遂げることになるだろう。

【劉 明鎬】


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