2024年04月20日( 土 )

不正会計発覚の山笠・東流 飾り山制作費の流れを追跡

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博多祇園山笠「東流」<

博多祇園山笠「東流」

 今年2月初めに発覚した「東流」の不正会計処理問題は、700年以上の歴史を有する「博多祇園山笠」の多くの関係者に衝撃を与えた。渦中の東流は弊社の取材に対し、その代表幹部が報道内容を全面的に認めたものの、1カ月以上が過ぎた今も、改善に向けた動きが見られず。それどころか、弊社の取材によって飾り山制作費に不可解な金の流れがあることが判明した。

 東流代表の梅津恭二氏への取材から、昨年(2015年)の飾り山制作費は約830万円だったこと、そしてそのうち、700万円は企業協賛金から支払ったということがわかった。問題は、飾り山制作費の中身である。梅津氏の説明では、まず人形師への支払いが約390万円で、残りの約440万円が「山小屋」といわれる建屋の建設費だという。取材により、東流の飾り山を制作しているのは、梅津氏本人が役員を務める(有)梅熊組であることもわかった。同社が制作を手がけている山は渡辺通り、天神1丁目、リバレイン、千代流、東流の5件。そのうち、千代流と東流からは直接請け負い、渡辺通りと天神とリバレイン3件を(有)名越工務店が元請、梅熊組が下請で建築を行っているというコメントを得た。

 東流の飾り山については、小屋と足場が梅熊組、電気関係は電気工事業者、人形は人形師、飾り山を乗せる台の制作は名越工務店が行っているという。舁き山と飾り山の台は共用するため、どの部分にいくらかかったと正確に言えない部分があるというが、おおまかに台の制作費は約50万円。しかし、それ以外の製作費は不明。また、山は毎年新築されているイメージだが、実際一から新しく制作するのは7年に一度。それ以外は補修して使っているという。東流から「山小屋」の建設費として支払われた約440万円のうち、梅熊組はいくらの工事を請け負ったのか。
 梅熊組が福岡県に提出している近年の工事経歴書を調べたところ、不透明さはさらに増した。東流の山笠に関する工事履歴が見当たらなかったのである。千代流運営委員会からの元請工事については記載があり、名越工務店からの下請履歴も残されている。しかし、東流の工事履歴に関しては数年遡っても記載が見当たらない。

 梅津氏の言うとおり、元請で請け負っているのなら工事履歴が記されているはずだ。一体、誰が東流の山を制作したのか、書類上わからないことになる。さらに不可解なのは、同社の山小屋制作の請負金額だ。元請も下請も毎年ほぼ定額。年によって損傷の度合いは違うはず。新築される山もあるなかで、毎年定額で受注することがあり得るであろうか。

 梅熊組の工事経歴書に東流に関する記載がないことについて、梅熊組の現代表である梅津竜次氏に取材したところ、「昔から東流の小屋は無償でやってきた。人も材料もうちから出しているが、代金は請求していない。売上にも計上していないので工事経歴にも入れていない」との回答を得た。山小屋の建築を無償とするなら、東流から山小屋制作で支払われた約440万円から台の分約50万円を引いた残390万円の費用は何に使われたのか。飾り山の小屋と足場がタダなら、電気関係で約390万円ということか。常識的に考えられず、つじつまが合わないことは明白である。

【特別取材班】

 

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