2024年04月19日( 金 )

(株)ペンシル新旧社長インタビュー~新体制で新たなステージへ(3)

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(株)ペンシル 取締役会長 覚田 義明 氏
代表取締役社長COO 倉橋 美佳 氏

 独自の研究で蓄積してきたノウハウを基にWebサイトを分析し、クライアントの売上や成約アップにつなげていく研究開発型Webコンサルティングを手がける(株)ペンシル。同社は6月1日付で、これまで代表取締役社長を務めてきた覚田義明氏が代表権のない取締役会長になり、後任にはこれまで取締役COOを務めてきた倉橋美佳氏が就任するという新たな体制へと移った。今回の体制変更の経緯や同社の今後の動きなどについて、新旧社長のお2人に話を聞いた。

(聞き手:弊社リサーチ事業部副部長・鹿島 譲二)

アカデミーを立ち上げ、経営者を養成

 ――覚田会長は一般社団法人ペンシルアカデミーを立ち上げられましたが、これはどういったものですか。

 覚田 これから経営者にとって大事なのは、「IT化」、それから「未来を考えること」、そして「グローバル」――この3つがとても重要だと思います。これまでペンシルでやってきたのは、うまくいっていないWeb戦略やWebサイトを、我々がコンサルタントとして客観的に見ることによって改善し、売上や成約アップといった結果を出すというものでした。そのノウハウをまとめたものが、この「成功シート9.0」というものなんですが、結局やってきたのは、全体を見て分析・研究して、細かいところを直していけば成功する。そういうパターンがあったわけです。そして今度は、経営者に対して同じようなことができないかな、と考えています。

(株)ペンシル 覚田 義明 取締役会長<

(株)ペンシル 覚田 義明 取締役会長

 私自身、このペンシルを立ち上げる前に、任せていただいていた会社を2年で潰してしまうという苦い経験をしています。そのときは、やはり取引先には迷惑をかけましたし、従業員にも仕入先も、すべての方に迷惑をかけたんですね。それは、私が経営をできなかったことが原因です。ですが、そのおかげでこのペンシルは、地道にコツコツと22年間やってきました。このWebコンサルティングというサービスもある程度完成して、さらにもっと磨きをかけていこう、という段階になると思うんですよ。そこで、私が次にやることを考えたとき、次は、経営者の人を助けるようなことがやりたいと思うようになりました。
 そして、そうした経営者を養成していくようなことも、これまでペンシルで培ってきたノウハウを活かし、同じようなメソッドでできるんじゃないかな、と思っています。ペンシルでやってきたことと同じように、経営者のための成功シートをつくり、やらなければいけないことを1つずつ講座として教えながらやっていく。講座を見れば、だいたいやらなければならないことがわかりますし、そしてアウトプットするためのワークシートというものがあって、そこに書き込んでいきます。そうしたものをつくり上げることによって、自分の考え方、アイディアが伝わりやすくなるんですね。ですから、アウトプットはすごく重要です。そして、こうしたことをやっていくと、経営者が学ばなければならないことが、一通りできるようになる。これを学ぶことで、「セルフコンサルティング」――自分で自分の経営を見て、それができるようになるという仕組みをつくり上げようというものです。

 ――覚田会長は、どのような思いで、こうした中小企業の経営者育成という考えに至ったのですか。

 覚田 建設業ばたけの私をシステム会社に入れていただき、さらに「チャンスと環境」を与えていただき、成長させていただいたそのシステム会社社長の樺島さんや、まだペンシルを立ち上げて間もない頃、まだ若く実績のない会社でしたが、そこに(株)ふくやの社長からチャンスをいただけたんですね。そこで成功事例をつくったおかげで、いろいろな方々とのご縁をいただき、チャンスや環境に恵まれて、今のペンシルがあります。そうして、これまでいただいた恩に対しての恩返しをしたいのですが、皆さん偉大すぎて、なかなか恩を返せずにいます。樺島さんに「恩送り」を教えていただいたのですが、それは、いただいた恩をその相手に返すのではなく、次の世代に送っていくというものです。「君が恩を受けたと思っているのだったら、君も次の世代に同じようにしたらいい」とその方に言われて、そのときに私は、次の世代に同じようにチャンスと環境を提供したいと強く感じました。それで、まだペンシルを立ち上げる前の1990年に、学校と研究所をつくるぞと決めました。それが具体的なかたちとなったのが、今回立ち上げたペンシルアカデミーです。ここでは、私だけでなく、元グーグル社長の村上憲郎氏にも理事になっていただき、総監修を務めていただいています。

(つづく)
【文・構成:坂田 憲治】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:倉橋 美佳
所在地:福岡市中央区天神1-3-38
    天神121ビル5F
設 立:1995年2月
資本金:5,200万円
売上高:(16/2)21億5,462万円
URL:http://www.pencil.co.jp/

<プロフィール>
kakuda_pr覚田 義明(かくだ・よしあき)
1995年に研究開発型Webコンサルティング会社の(株)ペンシルを設立。分析を強みとし、ライオン、カゴメ、江崎グリコ、リンナイ、全日本空輸、日本ベリサインなど多くの企業のWeb戦略を成功に導く。今年6月から取締役会長に就任。また、一般社団法人ペンシルアカデミーを立ち上げ、代表理事に就任した。

<プロフィール>
kurahasi_prf倉橋 美佳(くらはし・みか)
1978年生まれ、福岡市出身。九州芸術工科大学(現・九州大学芸術工学部)卒業後、2003年に(株)ペンシルに入社。R&D事業部マネージャー、取締役を経て、14年に取締役COOに就任。そして今年6月に、代表取締役社長COOに就任した。なお、5月20日に営業を開始した台湾現地法人の台灣朋守有限公司の董事長も務めている。

 
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