（株）ペンシル新旧社長インタビュー～新体制で新たなステージへ（２）

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2016年7月14日 07:04

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（株）ペンシル　取締役会長　覚田　義明　氏
代表取締役社長COO　倉橋　美佳　氏

　独自の研究で蓄積してきたノウハウを基にWebサイトを分析し、クライアントの売上や成約アップにつなげていく研究開発型Webコンサルティングを手がける（株）ペンシル。同社は６月１日付で、これまで代表取締役社長を務めてきた覚田義明氏が代表権のない取締役会長になり、後任にはこれまで取締役COOを務めてきた倉橋美佳氏が就任するという新たな体制へと移った。今回の体制変更の経緯や同社の今後の動きなどについて、新旧社長のお２人に話を聞いた。

（聞き手：弊社リサーチ事業部副部長・鹿島　譲二）

安心して任せられる一番の理解者への承継

　――６月から代表を交代されましたが、ここ数年はもう倉橋さんに任せて組織が回る体制にはなっていたわけでしょうか。

　覚田　なっていたと思います。今から３年くらい前に、私は倉橋から「社内のことはもう（社長がいなくても）やれているので、社長は次のことをやってください」というようなことを言われました。そこでアジアを回り、翌年には３カ月ほどサンフランシスコにも行きました。ただそのとき、回線の関係や時差の関係で、なかなか私と会社との意思疎通が難しくなり、そのときにかなり倉橋に任せることになりました。そうしたら、最初の１カ月で売上が急落して、そのときは「やっぱり自分がいないとダメだな」と思いました。
　ところが、残り２カ月でＶ字回復して、過去最高の利益を叩き出したのです。そして３カ月が過ぎて私が帰って来てから、倉橋に「私がいなくてもできるんだね」と聞いたら、返ってきたのは「いないほうがうまくいきます」という答えでした（笑）。

　――最初の１カ月で１度落ちて、残りの２カ月でＶ字回復をしたときは、社内では何が起きていたのですか。

　倉橋　１カ月落ち込んだことで、スタッフが「ここで結果を出さなければいけない」と、自分のこととして捉えてくれたことがありますね。それまで、どちらかと言うとマネージャーや役職者も受け身の姿勢だったところが、「自分がしっかりとしなければいけない」ということをより自覚するように変わった時期でした。実際に最初の１カ月は数字も落ちていましたので、残りの２カ月で何ができるかを、皆が自主的に動いたり、提案を詰めていったりするようになりましたので、個々の力がうまく作用したのではないかと思います。それで全体的な数字も上がり、結果が出たのではないでしょうか。

　――ただ、やはり事業承継というのは、非常に難しいことなのではないかと思うのですが、覚田会長の場合はいかがですか。

　覚田　実はいろいろな経営者から、「任せて心配じゃないですか？」とか「事業継承って心配じゃないんですか」などとよく聞かれます。ですが、そもそもが、心配するような人に任せていません。志も、一番大切にしなければならないクライアント第一主義も、サービスの絶対的な高品質も、そして福岡で唯一無二の会社をつくるんだという想いも、倉橋が入社してからの14年間ずっとぶつかりながら共有してきたものです。私のやりたいこと、目指そうとしていることを、一番理解してくれて、そして実行してきた人ですから。それはもう絶対にぶれません。私は、任せられる人がいて本当に良かったと思っています。絶対的に信頼できて、ぶれない。そして若い力があって、発想も若い。さらに、仕事のスピードも私の２～３倍早いです。もう最高じゃないですか。

　――倉橋社長を支える方々も、育ってきているわけですね。

　覚田　今回、倉橋の社長就任と同時に、取締役副社長に橋口洋和が、取締役に森田和靖がそれぞれ就任しました。これまでは、業務とコンサルティングの研究などを倉橋が、人事と営業本部長的な役割を橋口が、財務と経理を森田がやっていました。私も含め、これまでペンシルはずっと４人でやってきましたから、今回、それぞれを社長、副社長、取締役にして、今後は３人でペンシルを支えていくことになります。毛利元就の“三本の矢”ではありませんが、倉橋が一番得意な業務に集中できるように、ほかの２人が支えてくれると思います。

（つづく）
【文・構成：坂田　憲治】

＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：倉橋　美佳
所在地：福岡市中央区天神1-3-38
　　　　天神121ビル5F
設　立：1995年2月
資本金：5,200万円
売上高：（16/2）21億5,462万円
ＵＲＬ：http://www.pencil.co.jp/

＜プロフィール＞
覚田　義明（かくだ・よしあき）
1995年に研究開発型Webコンサルティング会社の（株）ペンシルを設立。分析を強みとし、ライオン、カゴメ、江崎グリコ、リンナイ、全日本空輸、日本ベリサインなど多くの企業のWeb戦略を成功に導く。今年６月から取締役会長に就任。また、一般社団法人ペンシルアカデミーを立ち上げ、代表理事に就任した。

＜プロフィール＞
倉橋　美佳（くらはし・みか）
1978年生まれ、福岡市出身。九州芸術工科大学（現・九州大学芸術工学部）卒業後、2003年に（株）ペンシルに入社。R＆D事業部マネージャー、取締役を経て、14年に取締役COOに就任。そして今年６月に、代表取締役社長COOに就任した。なお、５月20日に営業を開始した台湾現地法人の台灣朋守有限公司の董事長も務めている。