2024年04月18日( 木 )

東ヨーロッパには何があるのだろう(21)

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戦争博物館

 14世紀に建てられたという、もともとは火薬を保管したという「戦争博物館」。高さ26m、直径20mの円形レンガ造りの建物だ。この建物も、戦争による破壊と修復を経験しており、現在、その内部は過去の戦争を振り返る博物館になっている。そこには、それこそ多種多様な戦争遂行のための道具と戦争の歴史が存在する。

ツタが絡まる高さ26mのレンガ造りの旧軍用倉庫<

ツタが絡まる高さ26mのレンガ造りの旧軍用倉庫

今は過去の戦争に関する軍事博物館になっている<

今は過去の戦争に関する軍事博物館になっている

老女の祈り

rato3 バルトの地には、あらゆるところに教会だけでなく、“祈り”がある。通りの一角にある教会のドアの前で、神への思いを、彼の者が住むというはるかな宙にまで届けるために、老女は手にしてきたパイプ椅子に座って瞑目している。その背中は、壁のレンガと灰色の床の寂寥感と奇妙に溶け合う。
 彼女の祈りが何なのか、その重さがどのくらいなのか――。旅人として通り過ぎるこの身には、もちろん知る由もない。ただ、その背中には、言いようもない積年の悲しみが見える気がした。彼女の祈りがそのまま前の戸を通って祭壇へ登り、やがて神のもとへ届くように、その後押しをしたい気になった。

 ひょっとしたら、この地の若者たちが描く大げさな落書きも、老女の祈りに似た救いのための呪文なのかもしれない。

(つづく)

<プロフィール>
101104_kanbe神戸 彲(かんべ・みずち)
1947年生まれ、宮崎県出身。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を経て、現在は流通アナリスト。

 
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