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2016年12月31日 07:02

「領袖」となった習近平主席の次の一手!(3)

(株)アジア通信社 代表取締役社長 徐 静波 氏

順調に進む海のシルクロード構想

 徐 「一帯一路」は、中国の夢とも言える壮大な計画です。かつて世界を結んだシルクロードを再建して、21世紀のヨーロッパ、アフリカとアジアをつなぐ陸海の物流の大輸送路を構築し、中国が国際経済の中心だった、かつての時代の再興を意識しています。一帯一路には、陸と海の2つがあり、中国を起点に中央アジアから欧州に至る「陸のシルクロード」、中国沿岸部からアラビア半島までを結ぶ「海のシルクロード」に分かれています。

china 現在一帯一路に関係する国は64カ国あり、そのうち、プロジェクトを一緒に進めることを希望する国は35カ国におよびます。アフリカのケニア東部に、東アフリカ・中央アフリカ全体経済の生命線といわれる海港都市モンバサがあります。モンバサは古い港町で、中国の明の時代、鄭和が大艦隊を率いて西洋へ向かった際、辿りついたもっとも遠い港といわれています。14年に李首相がケニアを訪問、ケニア政府に38億ドルを提供し、「モンバサ‐ナイロビ鉄道」を建設することが決まり、今進行中です。その他、アフリカ唯一といわれる、エチオピア国内の地下鉄の敷設、運営など、海のシルクロードについては順調に進んでいます。

 一方、陸のシルクロードには3つの問題があることがわかってきました。1つ目は、プロジェクトに参加を希望する国、とくに旧ソ連邦などの国々が多いのですが、彼らは一様にまったく資金がなく、すべてが中国負担になってしまうことです。1つのプロジェクトで数百億円の費用がかかり、中国政府の負担が拡大しています。2つ目は、道路や鉄道を建設しても、一方的に中国の消費財等を中心に商品を輸出するばかりで、正常な交易が成り立っていないことです。3つ目は、私も現地に行きましたが、周りは禿山ばかりで、風が吹けば砂嵐が起こり、環境がものすごく悪いことです。

 しかし、中国政府は、中国パキスタン回廊(新疆南部を起点とし、中国大陸からインド洋に抜け、インド洋を通ってヨーロッパにも通じる)など、建設に大きな困難がともなうプロジェクトにも、速度を調整しながらも、歩みを止めることなく、取り組んでいくことを決定しています。

新執行部は習主席の意向に沿った構成に

 ――今年秋の、第19回共産党大会では、新執行部となる政治局常務委員が選出されると聞いています。少し、党人事を占っていただけますか。

 徐 かなり難しい話ですね(笑)。ここでは、まずはっきりしていることからお話しましょう。それは3つあります。1つ目は、現在の常務委員7名のうち、習主席、李首相をのぞく5名は規定の67歳を超えますので、全員が退任します。2つ目は、習政権第1期の常務委員は党内の政治的バランスを考慮して構成されましたが、今回の常務委員は、領袖となった習主席の意向に沿う人間で構成されることになります。3つ目は、どんな人員構成になるにしても、第2期の習政権は経済政策を主体に政治が行われていくことです。

 では、席の空く5名の常務委員の席に誰が座るのでしょうか。予想することが難しいので、ここからは、中国国民の風聞とお考えください。

 原則、次の常務委員は、現在の政治局委員(25名)から選ばれるとされています。そのうち、当確と噂される人物が2人います。

 1人は、孫政才(重慶市党書記、53歳)、もう1人は胡春華(広東省党書記、53歳)です。孫政才は薄熙来が退いた後に重慶市党書記に就き、政治腐敗を一掃。重慶のGDP成長率を連続してトップに押し上げ、その実力が注目されています。農業大学出身の農学博士ですが、経済にも強いといわれています。

 胡春華は16歳の時、県の文科成績第1位で北京大学に合格、卒業後、自分の意思で北京を離れチベットで就職しています。06年に青年団中央第一書記(大臣クラス)、河北省長を経て、09年に内モンゴル党書記になりました。問題解決の手腕に優れ、行政首長としての経験が豊富です。この2人は、次世代のホープです。

 この他に有力な候補として、汪洋(国務院副総理)、栗戦書(中央弁公庁主任)などの名前があります。今回はこの辺りまででしょうか。

(つづく)
【金木 亮憲】

<プロフィール>
jo_pr徐 静波(じょ せいは)
政治・経済ジャーナリスト。(株)アジア通信社社長兼『中国経済新聞』編集長。中国浙江省生まれ。1992年に来日し、東海大学大学院に留学。2000年にアジア通信社を設立し、翌年『中国経済新聞』を創刊。09年に、中国ニュースサイト『日本新聞網』を創刊。著書に『株式会社 中華人民共和国』(PHP)、『2023年の中国』など多数。訳書に『一勝九敗』(柳井正著、北京と台湾で出版)など多数。日本記者クラブ会員。経団連、日本商工会議所、日本新聞協会等で講演、早稲田大学特別非常勤講師も歴任。

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