【2025年5月】行政処分や指名停止(74件)監督官庁・自治体公表の企業
企業におけるコンプライアンスの重要性が増しており、経営上のリスクを低減するためには、さまざまな企業情報の収集と分析が不可欠な時代となりました。データ・マックスでは、監督官庁や地方自治体が公表した行政処分や指名停止などの情報をデータベース化し、毎月まとめたレポートを配信しております。
2025年5月判明分は、①監督官庁による公表(全国対象)が47件、九州に特化した情報として、②福岡労働局や九州運輸局、自治体による公表分が27件、合計74件を確認しました。主な傾向とポイントをまとめ、企業リストを会員限定にて掲載します。本レポートが経営判断のリスクを学ぶ機会となれば幸いです。
2025年5月の法令違反事例分析レポート
- 1. 労働者派遣法違反
形式上は業務委託契約としつつ、実態は派遣であった偽装請負、許可を得ずに80名を派遣した無許可派遣、さらには外国人に不法就労活動をさせた入管法違反による欠格事由に基づく許可取消しなど、重大かつ悪質な事例が続いた。行政は改善命令、刑事告発、許可取消しといった厳正な対応を取っており、派遣事業者には実態に即した法令遵守が一層求められている。
- 2. 技能実習計画の認定取消し
5月30日付で、全国11社に対して技能実習計画の認定取消処分が行われた。違反内容は、人権侵害、賃金未払い、違法な労働指示など多岐にわたる。技能実習制度は、2027年からの育成就労制度への移行にともない廃止される予定だが、本事例は「技能移転」という本来の制度目的と実態との乖離、受け入れ企業の倫理観の欠如、技能実習生の保護不足を如実に示したものといえる。
- 3. 下請法違反による勧告
農業機械メーカーは、下請事業者に対して長期にわたり無償で金型や治具を保管させ、不当な経済的負担を強いていたとして、公正取引委員会から勧告を受けた。問題行為への対応として、同社は下請事業者102社に対し、総額1億6,000万円超の補填を実施した。
- 4. ホテル業界への独占禁止法警告
著名ホテルを運営する15社に対し、公正取引委員会は、客室稼働率や価格設定に関する情報交換が「不当な取引制限」に該当する恐れがあるとして警告を行った。カルテル的行為につながるリスクが指摘され、業界団体に対しても再発防止の徹底が求められている。
- 5. 建設業法違反による営業停止処分
昨年9月に前代表が贈賄および詐欺の罪で起訴され、宮崎県から21カ月の指名停止処分を受けていた給排水設備業者は、今年3月に懲役2年(執行猶予4年)の判決を受け、刑が確定したことにより、6月13日から1年間の営業停止処分が加重された。企業としての存立が問われる局面を迎えている。
2025年5月は、労働者派遣法違反や技能実習法違反が相次いだ。頻出する違反類型や処分内容を追うことで、行政による取り締まり強化の“潮目”を捉えることができる。
以上の事例は、下記の企業リストからの遷移で詳細を確認することができます。