2024年04月26日( 金 )

新しいチャレンジで任天堂の復活なるか(後)

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「ポケモンGO」とゲーム機との相乗効果

pokemongo 「ポケモンGO」の利益寄与の期待が薄らいでいただけに、7~9月の3カ月間だけで持ち分投資利益を105億円押し上げた利益貢献は、想定外として驚きをもって受け取られた。

 しかも、「ポケモンGO」と、任天堂の主力事業である家庭用ゲーム機の相乗効果が見えてきたことが好感された。欧米では「ポケモンGO」の配信開始以来、携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の販売がハード、ソフトとも伸び、前期を上回るペースで推移している。

 任天堂の復活の方向性が見えてきた。ポケモンやスーパーマリオなど、豊富に抱えるIP(知的財産)を活用する戦略にはもともと評価が高かった。「ポケモンGO」のヒットで、ゲーム機との相乗効果が期待されるようになった。

「ニンテンドースイッチ」で勝負に出る

 任天堂は16年10月20日、17年3月発売の「Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)」の価格や発売日、ソフトのラインアップなどの詳細を17年1月13日に発表すると公表した。

 任天堂のウェブサイトを確認すると、主力の据え置き型ゲーム機「Wii U」の日本国内向けバリエーションには「近日生産終了予定」の文字が並ぶ。Wii Uは12年秋からの世界の累計販売台数1,336万台(16年9月末時点)と歴代の任天堂の主力ゲーム機では過去最低。液晶画面付きコントローラーという独自設計があだとなり使い勝手が悪かった。

 ライバルの(株)ソニー・インタラクティブエンタテインメントのゲーム機「プレイステーション(PS)4」は13年に発売されて以来、累計販売台数は4,000万台を超え、17年3月期には6,000万台を目指す。Wii UはPS4に大敗して、生産終了予定に追い込まれた格好だ。

 任天堂は17年3月に、据え置き型ながら持ち運んで遊べるニンテンドースイッチを発売すると発表した。任天堂がソニーにない強みは、スマホゲームのコンテンツを持ったことだ。「ポケモンGO」で高まった注目を生かし、自社開発のスマホゲームでヒット作を出せれば、ユーザーをニンテンドースイッチに呼び込むことができる。

 ヒット作の期待を込めて投入したのが、自社開発のスマホ向けゲーム、「スーパーマリオ ラン」である。任天堂の復活は、「ニンテンドースイッチ」と「スーパーマリオ ラン」の相乗効果にかかっている。

(了)
【森村 和男】

 
(前)

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