2024年04月17日( 水 )

ライバルはマンション ターゲットを絞った戸建戦略(前)

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山根木材ホーム(株)福岡支店 金谷 昌俊 支店長

 山根才吉氏が、生まれ育った広島で1910年に創業した山根木材店。木材船の材料仕入れからスタートし、28年から住宅事業に進出。以来今日まで1万棟以上の戸建住宅の供給実績を積み上げてきた。2014年2月にホールディングス化し、山根木材ホーム(株)としてリスタート。36年前からは福岡市にも進出している。家づくりを通じて地域社会に貢献する事業を拠点の広島と同様に展開している。事業の現況と今後について、福岡支店長の金谷昌俊氏に聞いた。

経験が通用しない土地価格

 ──福岡に進出して、36年。福岡都市部を中心に、住宅を供給していらっしゃいますが、現況についてお聞かせください。

山根木材ホーム(株)福岡支店 金谷 昌俊 支店長

 金谷支店長(以下、金谷) 現在は、城南区樋井川、南区鶴田・柏原、西区拾六町、春日市、筑紫野市で販売中です。これまで同様、福岡市内を中心とした戸建住宅の設計・施工・販売を手がけていきます。特に、城南区・早良区、そして南区は重点エリアです。

 ──福岡市では、土地の値段が高騰し、マンション建築も厳しさを増しています。戸建住宅の市場については、どのような見解をお持ちですか。

 金谷 当社が福岡に進出して36年になります。これまでの積み上げた実績のなかで、販売価格の相場がデータとしてあります。そのデータをもとに新たな物件の販売価格を決めていくのですが、現状、土地の価格が高騰しており、そのやり方が通じなくなってきています。新規参入の事業者は、今の市況が「普通」なのか、高めに価格を決めており、相場がさらに上昇傾向になっていると思います。過去のデータをもとにするやり方では対応できない場合もあります。今までの経験が、後手を踏む原因になっているケースも見られます。福岡で長く事業をしてきた企業は、福岡市内の郊外へとシフトしているのではないでしょうか。

“ニッチ”市場への参入

 ──顧客の購買意欲に関しては、どのように分析されていますか。

 金谷 おおむね上昇傾向にあります。依然として低金利が続いており、住宅への購買意欲は高まっています。販売価格が上昇している現状もお客様は、承知しております。消費税増税までの意識はありませんが、低金利というアドバンテージをいかして、市場は動いていると見ています。一方で、昨年(2016年)5月に、17年4月に消費税増税の実施が再延期されることが決定した時は、厳しかったですね。どの企業も同じでしょうが、増税前のかけこみ需要を視野に、すでに用地を仕込んでいました。商品を市場に出したものの、しばらく売れず、値引き合戦が激しくなりました。在庫を抱えることは回避しなければならないので、キャンペーンを行うなどして販売を実施しました。その時期、福岡市南区だけで不動産サイトに登録している建売住宅は約400戸という状況で、明らかに供給過多でした。

 ──そのように戸建住宅の市況に変化がありながらも、福岡市内は市場の優位性が今もありますね。

 金谷 福岡市内の人口は、増加し続けています。当然、住宅ニーズも高まっていくことが予想されます。当社は、条件の優れた福岡市内の用地を開発し、3~5棟の小ロットで住宅を供給していく方針です。現在、年間で約60棟の供給を行っています。商圏は、福岡市内が中心であることはこれからも変わりません。同業者は、福岡市の郊外を開発しているケースがありますが、当社は、福岡市内の“ニッチ”なロケーションを、地道にきめ細かく開発していきます。

(つづく)
【文・構成 河原 清明】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:山根 誠一郎
所在地:広島市南区出島1-21-15
(福岡支店)福岡市南区大池1-26-7
設 立:2014年2月
資本金:5,000万円
グループ会社:ヤマネホールディングス(株)
       山根木材リモデリング(株)
       山根木材メンテナンスサービス(株)
       山根木材リノベーション(株)
       広島ランバーテック(株)
URL:http://www.yamane-m.co.jp/

 
(後)

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