2024年04月25日( 木 )

お客さまのメリットを最優先に「さすが西京」を目指す(中)

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(株)西京銀行 頭取 平岡 英雄 氏

 山口県周南市に本店を構える西京銀行。山口県の第二地銀として、地域に根差した事業を展開している。2010年に頭取に就任した平岡英雄氏は、改革派として活躍している銀行家である。地域の企業のメリットを第一に、西京銀行ならではのサービスを展開していきたいとする平岡頭取に、金融再編への考え、人口減少などの地域経済の問題、変化を続ける金融業界についてうかがった。

(聞き手:弊社代表・児玉 直、弊社顧問・浜崎 裕治)

人口減少・フィンテックなど新たな潮流が生まれつつある

 ――山口県は人口減少が進んでいます。今後、山口県内の市場が小さくなっていくことも考えられます。

 平岡 そうですね。人口減少が進み、それにともなって事業所が減って地域経済とともに銀行もジリ貧になってしまう、それでも生き残っていけるのか、という考え方もたしかにあります。けれども、私はその段階にはまだ至っていないと考えています。逆に言えば、その段階になるまでにまだやれることがあると思います。

 ――近年では、フィンテックという言葉を新聞紙面などで見ることが多くなりました。

 平岡 システムの問題と同様に、フィンテックが普及してきています。これからは、通貨そのもののあり方が問われていくように感じています。今のように高い振込料を払って振り込みをせずともいいような、もっと良い方法ができあがったならば、私たちは生き残っていけないのではないかとも思っています。

 そのとき、私たちの立場はコンサルティング業のようなものになると考えています。オンラインにつながっていないけれども、定期預金だけを集めて、ご融資だけを手がけるというような、これまでとはまったく違った銀行になるかもしれません。仮想通貨を含めて金融業務は信頼性、信用性の世界ですから、どうなっていくのかは今後の動きを注視していかなくてはなりませんね。

 ――最終的に機械にだけ頼っていけるのか、というとそうではない気がします。けれども、勉強会で話題に上った話がすぐに実用化されています。変化のスピードが速いですね。

 平岡 銀行に比べて、ベンチャーには圧倒的なスピードがあるように思います。手続きの問題、信用性の問題をクリアしていくと、新しい仕組みが生まれるかもしれません。

「さすが西京」と言われる存在になる

 ――金融機関も変化を余儀なくされる可能性があるということですね。ところで貴行は4月に中期経営計画を発表されましたね。

 平岡 地域金融機関として、私たちなりに変化をし続けることを記した中期経営計画になりました。新たな中期経営計画では「一人でも多くのお客様に『さすが西京』のサービスを」というスローガンを掲げています。大前提として、地域の皆さまに喜んでいただけるサービスを提供していく所存です。

 この中期経営計画では4つの基本戦略を考えております。1つ目は、お客さまの数を拡大することで、山口県の事業者、医療介護施設、シルバー層のお客さまに注力していく考えです。2つ目は、お客さまとの取引を深耕していくというものです。事業性評価に基づき、とくに医療介護施設との取引を深めていきたいと考えております。3つ目は、お客さまとの接点を拡大するというものです。私たちの業務を効率化することで、お客さまの利便性向上を図り、接点を拡大していきたいと思います。4つ目は、収益力強化に向けた有価証券戦略とIT戦略です。

 この計画を、2017年度から3カ年続けていきたいと考えております。これらの戦略のもと、地域の皆さまからお預かりした大切なご預金を、資金を必要とされる地域の事業者さまや個人のお客さまにご融資してお使いいただく、資金の地域内循環を実現し続けたいと考えております。

 ――銀行業務も大きく変化してきました。30年前は手形割引業務が収益の柱の1つとなっていました。銀行にとっても利益につながるし、企業にとっても素早く現金化できることは大きなメリットでした。それが近年では、手形割引は死語になるのかと思われるくらい、流通量が減っています。

 平岡 手形は少なくなりましたね。今後、手形という商習慣はなくなっていくかもしれません。私たちは手形がなくなったときに困らないように、すでに手形の取立手数料をゼロにしています。

 ――そうしてみると、銀行業務も変化してきていますね。フィンテックを含めて、今後、さらに変化してくことが考えられます。

 平岡 当行が貸出金利息をずっと増加させ続けられているのも、変化の結果です。金融サービスについて、今後、大きな変化が考えられますから、私たちはお客さまの視点で対応をしていかなくてはなりません。「さすが西京」と言われる存在にならないといけないですからね。

(つづく)
【文・構成:柳 茂嘉】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:平岡 英雄
所在地:山口県周南市平和通1-10-2
設 立:1930年11月
資本金:179億4,000万円
経常収益:(17/3)294億700万円

 

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