お客さまのメリットを最優先に「さすが西京」を目指す（後）

一般

2017年6月19日 07:02

ツイート

（株）西京銀行　頭取　平岡　英雄　氏

　山口県周南市に本店を構える西京銀行。山口県の第二地銀として、地域に根差した事業を展開している。2010年に頭取に就任した平岡英雄氏は、改革派として活躍している銀行家である。地域の企業のメリットを第一に、西京銀行ならではのサービスを展開していきたいとする平岡頭取に、金融再編への考え、人口減少などの地域経済の問題、変化を続ける金融業界についてうかがった。

（聞き手：弊社代表・児玉　直、弊社顧問・浜崎　裕治）

都市分散型の山口県

　――さて、決算についておうかがいします。まず、直近期の決算の印象はいかがでしょうか。

　平岡　非常に良かったと思います。わずかですが、最高益を更新することができましたし、16期連続で増益することができました。対前年比でいうと増収増益となっています。私たちの体力からすると、良好な決算になったと思います。

　――福岡県は銀行が乱立していますから、競争の結果、最終利益が出にくい構造になっています。一方で山口県の場合は山口銀行、西京銀行という第一、第二地銀がしっかりしているということが、県内の安心感につながっていると思います。それぞれがそれぞれの顧客を守るという立場を堅持していらっしゃるように見えますね。山口県は安定しているように見えますが、いかがでしょうか。

　平岡　山口県は、大きな都市の一極集中というような構造ではなく、都市分散型の特殊構造があります。以前は非効率的と言われていましたが、非効率的であるからこそ、メガバンクや他の銀行が、本気になって進出してこなかったのではないでしょうか。特殊性の高い地域だからこそ、私たちも商売を続けられているのだと思います。非効率的な地域性が、今の時代には良かったのかもしれませんね。

　――たしかに、都銀が進出しにくい地域ではあると思います。非効率的な県だからこそ、地域に根付いた金融機関でないと対応できないということなのでしょう。

顧客のメリットを追求し店舗を集約、広く便利に

　――山口県が抱える大きな問題が、人口減少です。これからも人口減少が続くという予測もあります。そういった環境で、どのように店舗を展開していこうとお考えでしょうか。西京銀行は、店舗数の縮小が進んでいるように思います。

（株）西京銀行平岡英雄頭取

　平岡　縮小というのではなく、周囲の店舗を取り込んで拠点を大きくするという方法を採っています。私たちの店舗は、駐車場が狭いなど、お客さまにご不便をおかけしていたところがありました。拠点店舗を大きくして、広い駐車場を確保するなど、お客さまにとっての利便性を高める狙いがありました。もちろん、徹底的にコストカットするため、ということもあります。しかしながら、山口県でこれ以上、店舗を合併するのは難しいとも感じています。一度は閉鎖した店舗を再び出店することも含めて、店舗戦略は検討しようと思っています。

　――県外の戦略についてはいかがですか。

　平岡　昔から広島県、福岡県に店舗を出していますし、私自身、今も両県を行き来しています。以前は福岡、広島は融資店舗として位置付けていましたが、今は変化しています。他県では、地元金融機関との競合が厳しいため、中途半端な体力では大きな企業さまとはお付き合いがしにくい状況にあります。そうなると、対象は中小零細企業ということになりますが、そこにはどうしてもリスクがついて回ります。悩ましいところですね。

　ですから、福岡ではワンルームマンションを中心としたローンの取り扱いが主になっています。ワンルームマンションは、従来は銀行からすると投機的なものという認識がありました。しかし、こちらも競合が激しくなってきています。事業への融資が難しいからローンの取り扱いが増えたのですが、今はそのローンも厳しくなってきています。次に何をしようか、有効な手立てが見出せない状況があります。

　――ワンルームマンションでも、厳しい状況になっているのですね。

　平岡　そうですね。保証会社がついているケースが多いので、実質の実入りが非常に少なくなっています。とはいえ、福岡エリアは人口が増えている都市なので、まだまだできることがあるのではないかと考えています。

　――マイナス金利に対するお考えをうかがいます。

　平岡　マイナス金利導入後、全国の銀行では預金金利の引き下げが行われました。そんななか、当行では年率0.5％の年金定期預金など、全国最高レベルの高金利商品の発売を継続しておりますし、資産運用窓口も多様化させてお客さまのニーズに対応できる体制を整えてまいりました。地域のお客さまの役に立つことが私たちの存在意義なので、1人でも多くのお客さまにお取引いただけるよう、努力していきたいと考えております。

（了）
【文・構成：柳　茂嘉】