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2017年11月13日 15:00

ハゲタカファーストアベノミクスの致命的欠陥

 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、昨今の株価上昇は本質的な経済状況の好転ではなく、あくまでアベノミクスによる大企業優遇策の結果でしかないと喝破する11月11日付の記事を紹介する。


2013年版から刊行を始めた年次版TRIレポートのシリーズ第6弾となる、2018年版TRIレポートが刊行された。

あなたの資産が倍になる金融動乱に打ち勝つ「常勝投資術」』(ビジネス社、税込み1,620円)

アマゾンの「経済学」ジャンルでベストセラー1位の支持をいただいている。ご高覧賜れれば誠にありがたく思う。

2017年版はこちらである。
反グローバリズム旋風で世界はこうなる

サブタイトルは「日経平均2万3,000円、NYダウ2万ドル時代へ!」であったが、11月9日、日経平均株価は2万3,000円台を記録した。2017年版は昨年12月7日の刊行である。米国大統領選直後の出版であった。当時、NYダウ2万ドル、日経平均株価2万3,000円という予測は皆無に近かった。

そもそも、トランプが当選すればドルとNYダウの暴落が生じると言われていたのである。
しかし、現実にはトランプが当選し、ドルとNYダウは大幅上昇。そして、日経平均株価も急騰した。米国大統領選の開票が進んだ昨年11月9日に、日経平均株価は16111円の安値をつけた。ちょうど1年後の本年11月9日の高値は2万3,382円。1年間で7,271円、45.1%の大暴騰を実現したことになる。

これを「バブル」と表現する者がいるが、「バブル」ではない。合理的に説明のつけられる株価上昇である。私が2万3,000円の予測を提示したのは、1996年6月26日の2万2,666円を超える株価上昇が生じると洞察したからである。日経平均株価は25年10ヵ月ぶりの高値を記録した。それでも1989年12月29日の終値3万8,915円にはまだ遠い。主要国の株価が史上最高値を更新し続けるなかで、日本の株価は1980年代に記録した株価の3分の2の水準にも達していない。日本経済の30年間の停滞を象徴している。

安倍政権の下でも日本経済の低迷は続いている。経済全体のパフォーマンスを示す実質GDP成長率では、あの、あまりぱっとしなかった民主党政権時代よりも、2012年12月の第2次安倍政権発足以降のほうが、低い経済成長率実績を示している。
民主党政権時代の成長率平均値は+1.8%。これに対して、第2次安倍政権発足後の成長率平均値は+1.4%なのだ。それにもかかわらず、株価は大幅に上昇している。株価が上昇している最大の背景は企業収益の拡大だ。上場企業の企業収益が拡大して株価が上昇している。日本の上場企業数は4,000社弱。日本の法人数全体400万社の0.1%だ。経済全体は極めて悪いが、大企業の利益だけが拡大し、その企業の株価だけが上昇しているのである。

2018年版TRIレポートは、庶民の資産防衛、資産活用の極意を伝授することをひとつの目的としている。
会員制レポート『金利・為替・株価特報』=TRIレポート
の年次版が上掲書のシリーズである。

金融変動の予測は極めて難しい。経済金融のみならず政治情勢の影響が非常に大きく、さらに技術環境の変化が強く影響する。しかし、政治経済金融情勢を分析して、的確に金融変動を予測できなければ資産防衛も資産運用もできない。庶民が生き延びるために、経済金融情勢分析は必要不可欠なのだ。
アベノミクスの下で株価が上昇していることを安倍政権は「成果」であると強調するが、これはまったく違う。経済全体が低迷しているなかで大企業の利益だけが突出して拡大している。つまり、一般の労働者、一般の国民を踏み台にして大企業の利益が増大しているのである。
主権者の利益ではなく、大資本の利益だけを追求する政治。
これがアベノミクスの実相である。

短期的には企業収益が拡大し、株価が上昇するが、長期的には重大なバランス喪失が表面化する。供給力に対する需要の絶対的不足に直面するのである。これを回避するには、経済政策の基本を抜本転換しなければならない。所得格差の拡大を推進するのではなく、所得格差の是正、所得再分配政策の拡大を経済政策の中心に置くことが必要不可欠なのだ。

安倍政権が政策転換しないなら、政権そのものを転換するしか道はない。
長期的な日本経済再興策は政治状況の刷新にあると言って間違いない。

※続きは11月11日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1892号「ハゲタカファーストアベノミクスの致命的欠陥」で。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』

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