2024年03月29日( 金 )

九州地銀の17年9月期(中間)決算を検証する(2)

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1.九州地銀(18行)の預貸率について

 【表1】は九州地銀の預貸率順位表である。県外の預貸金も含まれており正確ではないが、各県の経済規模を反映する1つの尺度ではないだろうか。

この表から見えるもの

◆第1位は北九州銀行で預貸率は97.4%。山口銀行の九州(県外)における営業権を継承して設立されており、もともと預貸率は高かった。預貸率を適正な水準にするためには、地元銀行として生活に密着した個人口座をいかに取り込んで預金増強を図るかが今後の課題だろう。

◆第2位は長崎銀行で94.7%。貸出金残高は2,379億円。九州地銀18行のなかで、佐賀共栄銀行の1,824億円に次ぎ2番目に小さいポリーム。十八銀行と親和銀行との合併が無期延期(白紙)となったため、両行の競争が激化した影響を受けて、預金残高は前期比50億円、貸出金残高はわずか9億円しか増加していない。預貸金とも前年比シェアは減少しており、今後も厳しい状況が続くことになりそうだ。【表2】参照。

◆第3位は福岡銀行で90.1%。貸出金残高は9兆503億円で前期比1,250億円増加。第4位は西日本シティ銀行で83.4%。貸出金残高は6兆7,307億円。福岡銀行とは2兆3,196億円の差があるものの、前期比1,561億円増加しており、福岡銀行を上回っている。

・また預金残高についても福岡銀行の10兆457億円に対し、西日本シティ銀行は8兆675億円。その差は2兆円弱あるものの、福岡銀行の前期比1,127億円の増加に対し、倍以上の2,548億円増加させているのが目につく。

◆貸出金が前期比マイナスは福岡中央銀行(▲22億円)、豊和銀行(▲25億円)、南日本銀行(▲36億円)、宮崎太陽銀行(▲27億円)の4行。プラスであっても長崎銀行は前期比9億円、佐賀共栄銀行は16億円しか増加していない。

◆【表1】とともに【表3】の九州7県の人口に対する預貸金シェア推移表を見ていただきたい。

・第一地銀の預貸率を見るとトップは福岡県。以下鹿児島県、宮崎県、熊本県、佐賀県、長崎県、大分県となっている。

・福岡県が人口構成に対し大きなシェアを占めているのがわかる。人口の構成比を超えているのは長崎県だけであり、十八銀行と親和銀行が競争しているからだろう。十八銀行と親和銀行の合併が白紙となったのはその辺が考慮されたものと推測される。

◆第二地銀7行のうち、ふくおかFG傘下の熊本銀行だけが1兆円を超える貸出金残高となっており、競合する第一地銀との体力差が大きいのがわかる。しかしその第一地銀もFG・FHに挟撃されており、経営統合しないで生き残っていくのは厳しくなってきているようだ。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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