2024年04月23日( 火 )

Jフロントは千趣会と提携解消。次はセブン傘下のニッセンか(後)

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ファッションのネット通販は大激戦区

 総合マーケティングビジネスの富士経済は2月19日、国内通販市場が2018年に16年比12.0%増の10兆円2,613億円と、初めて10兆円超となる予測を発表した。

 他業態からのシフトが続くネット通販が市場を牽引。ネット通販の売上は16年比15.2%増の8兆3,557億円とした。ネット通販が通販市場の81.4%を占める。ジャパネットたかたなどのテレビ通販は同3.6%増の5,537億円と予測。
 しかし、通販の主役だったニッセンホールディングス(HD)や千趣会などのカタログ通販は同1.3%減と1兆2,506億円と減少に歯止めがかからない見通し。カタログは一覧性があり、高齢者には強いが、スマホに慣れた若者世代には受け入れられず、ジリ貧をたどっている。

 ネット通販はかつてはパソコンなどの家電製品が中心だったが、今やアパレルに取ってか代わった。アパレル通販は大激戦区だ。
 「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイや、雑誌掲載アイテムを扱う「マガシーク」などのファッション専門サイトや、各小売店やブランドが独自に運営するストアに加え、アマゾンや楽天などの総合モールでも衣料品を買うことができる。アマゾンは「即日配送」や「送料無料」などの新サービスを打ち出して、他社を圧倒している。ファッションのネット通販に進出すれば、誰もが勝ち組になれるわけではない。

セブン&アイHDはニッセンHDをどうするか

 千趣会がカタログ通販からネット通販への転換に苦戦する様子は、セブン&アイ・ホールディングス(HD)の傘下で事業転換を進めているニッセンHDと共通点がある。
 セブン&アイHDは、2015年11月、インターネットと実店舗を融合した「オムニ7」を開始した。同社は、このオムニチャネル戦略を、コンビニのセブン-イレブンの登場に続く、第2ステージと位置付け、業態を超え、ネットと融合した新しい買い物習慣をつくることを目指した。2019年2月期には、「オムニ7」を通じた売上高1兆円を上げるとぶちあげた。

 しかし、1年で失敗だったことがわかる。そこで、「オムニ7」を核とした施策から、グループ各社のシナジー効果を重視した施策に転換した。
 セブン&アイHDは2013年にカタログ通販最大手ニッセンHDを子会社化、16年に完全子会社化した。カタログ通販からネット通販に転換して、「オムニ7」を通した売上に寄与するためだ。
 オムニチャネル戦略の見直しで、ニッセンHDをどうするかはゼロベースで検討することになった。ニッセンHDは赤字経営が続く。2017年2月期の売上高は1,208億円で、営業利益は124億円の赤字。18年2月期の売上高は前期比2.3%減の1,059億円、営業利益は56億円の赤字の見込みだ。
 セブン&アイHDは、ニッセンHDを、自社のネット事業に組み込むのか。それとも、切り離すのか。千趣会に続いて、ニッセンHDの動向が注目される。

(了)
【森村 和男】

 
(前)

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