シシリー島便り・日本人ガイド、神島えり奈氏の現地レポート~アグリジェントの神殿遺跡(前)
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先日、カターニア空港で6日間のシシリー滞在を終えた12名の日本人旅行者を見送った。6日間という時間はあっという間に過ぎた。毎日目一杯観光をし、よく食べてよく笑い、夜遅くまで語り合った。シシリー島に来る日本人旅行者は一般的に歴史好きが多いが、今回は、ゴルフとワインが趣味という人たちの集まりだった。
アグリジェントからバスで50分ほど、海に面した場所に、シャッカという温泉で有名な街がある。そこからさらに数10km離れたところにシシリーの豪華ゴルフリゾートがある。まず公道からゴルフ場入口に入って1kmほど先で、予約ネームリストのチェックを警備員から受ける。さらにゴルフ場の敷地内を車で走ること7、8分、ようやく宿泊受付にたどり着いた。
地中海が目の前に広がるテラスで、係員からウェルカムドリンクのおもてなしを受け、チェックインの手続きを済ませる。そして各部屋に電動カートで案内してもらう。
ゴルフをしない人も非日常的な、贅沢な時間を過ごすことができ、旅の疲れをしばし忘れさせてくれる。夕暮れ時の景色も見逃してはいけない。自転車の貸し出しサービスがあるので、敷地内を隅から隅まで散策することも可能だ。このゴルフリゾートはイタリア国内よりも海外からの滞在客が多い高級リゾート地で、有名なゴルフコンペも開催される。プールサイドのレストランで、夕食が食べられる。キャンドルの火が、語りあう恋人たちのムードをさらに盛りあげる。またシェフの料理も繊細かつ、上品な仕上がりだった。食後の生演奏と海風が心地よい。バールでカクテルグラスを片手に揺らしてみる。シシリーの贅沢な夜だ。
翌朝、日本人旅行者の皆さまをアグリジェントへと案内した。アグリジェントには紀元前6世紀に造られたギリシャ植民地アクラガスの神殿遺跡が残る。1997年にユネスコ世界遺産に登録され、観光シーズンともなると1日5,000人ほどの観光客が訪れる。夏季には、深夜零時まで観光を楽しむことができる。シシリーの人で、ギリシャで神殿を見てきた人も、「ここの神殿のほうがすばらしい」と自慢気に語る人が多い。
はるか太古のロマンは、何度見ても、圧倒させられる。神殿が全長20kmの城壁に囲まれた街中に20近くある。権力の強大さを見せつける役割もはたした神殿には灯火が煌々とともされ、海からやって来る敵を威圧するという役割も担っていた。
(つづく)
<プロフィール>
神島 えり奈(かみしま・えりな)
2000年上智大学外国語学部ポルトガル語学科を卒業後、東京の旅行会社に就職。約2年半勤めたのち同社を退職、単身イタリアへ。2003年7月、シシリー島パレルモの旅行会社に就職、現在に至る。関連記事
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