本格成長期に入った2次電池産業(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
2次電池とは充電して繰り返し使える電池のことで、現在ではリチウムイオン電池が主流となっている。その要因としてリチウムは高い電圧を実現でき、限られたスペースで多くの電気を貯められ、素早く出力することができることが挙げられる。
2次電池の登場によって、現在のモバイル時代が到来したと言っても過言ではない。2次電池は、これまで携帯電話などのモバイル機器を中心に、その需要が形成されてきた。ところが、1回の充電で500km以上走れるような2次電池が開発されたことにより、本格的な電気自動車時代が始まろうとしている。
すでに、中国では電気自動車の普及を政府が強力に推進しており、ここ2、3年で中国を中心として電気自動車市場が拡大している。そのため現在、電気自動車の市場規模は、中国市場が最も大きい。中国政府が自国企業にのみ補助金などを出すことにより、中国の2次電池企業であるCATL、BYDが飛躍的な成長を遂げ、世界的な電池企業となっている。
世界的に二酸化炭素の削減が急務となり、ヨーロッパでは2021年から自動車の排出ガスへの規制が一層厳しくなる。それによって、ヨーロッパでも電気自動車が本格的に普及しそうだ。このような流れのなか、ヨーロッパの自動車メーカーは環境規制で課徴金を課されることがないように、環境に優しい電気自動車の割合を増やし計画をしている。
現在のように内燃機関の自動車を生産した場合、たとえばフォルクスワーゲンは12兆ウォンの課徴金を、現代自動車は3兆ウォンの課徴金を課されかねない。そのような課徴金を支払っていては、自動車会社のビジネスが成り立たなくなるため、グローバル完成車メーカーは車種を徐々に電気自動車に変えていこうとしている。
市場調査会社IHSマークイットによると、ヨーロッパの量産電気自動車の車種は60モデル(2018年末基準)だったが、2021年には、210車種に増加すると見込まれている。このように、電気自動車が普及するようになると、2次電池産業も大きく成長することが見込まれる。今後、2次電池市場は、メモリ半導体市場よりも市場規模が大きくなるということで、韓国企業は、この市場に密かに期待を寄せている。
IHSマークイットによると、電気自動車向けの2次電池市場は年平均25%ずつ成長し、2025年には1,600億ドルになると予想され、1,490億ドルの市場規模をもつメモリ半導体市場より大きくなるとしている。中国政府の補助金などで、世界シェアでは韓国企業は中国企業に負けているが、中国の補助金がなくなった時や、ヨーロッパ市場が大きくなった時には、大きなチャンスだと韓国企業は期待している。とくに、韓国の輸出の20%を占めている半導体よりも、大きな市場であることについての期待が大きい。
(つづく)
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