2024年05月09日( 木 )

NIKKENホールディングス(株)設立 新社屋、持株会社化で永続企業へ

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日建建設(株) 代表取締役 金子 幸生 氏

 1950年の設立以来、公共施設、マンション、オフィスビル、福祉施設、商業施設に至るまで、福岡市を中心に建築を手がけてきた日建建設(株)。高い技術力で72年間、3代にわたり事業を発展させてきた同社代表取締役金子幸生氏に、今年10月に設立したNIKKENホールディングス(株)の立ち上げ経緯と今後の経営戦略について聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)

持株会社化で価値を高める

日建建設(株) 代表取締役 金子 幸生 氏
日建建設(株)
代表取締役 金子 幸生 氏

    ──持株会社の設立の狙いは。

 金子幸生氏(以下、金子) 日建建設(株)は10月3日に新会社「NIKKENホールディングス(株)」を設立し、持株会社体制に移行しました。NIKKENホールディングスはグループ戦略の立案を担うほか、日建建設から不動産の賃貸事業の権利を継承して賃貸事業を行います。今後、日建建設は総合建設業、宅地建物取引業、建設設計・監理業務に特化し、(株)三京は建築工事業(主に戸建等の木造建築物)が主体となります。2015年より計画していた新本社が21年に完成し、いろいろなことが落ち着いた今がベストタイミングとなりました。

 目的は主に2つです。(1)資本と経営を分離し、本業の業績を把握しやすくすること、(2)日建建設の総資産の圧縮と自己資本比率の向上、です。これにより経営事項審査の点数を上げることができるので、公共工事の受注に有利となるだけでなく、企業の信用や評価を高めるという点から見ても有効であると考えています。現在、新本社の環境にも慣れて会社全体の雰囲気が一層明るくなりました。3~11階部分の賃貸マンションの入居も常に満室となっています。会社の永続を考えて持株会社体制へ移行しましたが、今までと変わらず目の前のことに堅実に取り組んでまいります。

 ──社長就任約20年を振り返って思うことは。

 金子 まず思い出すのは、がむしゃらにやっていた若いころですね。勢いとやる気は十分な反面、経験は浅いですからつらい思いもしました。とにかく必死に試行錯誤をしていた日々でしたが、今思えばとても貴重な時間でもありました。

 08年のリーマン・ショックのころは苦難の連続でした。マンション事業で大きな赤字を出した直後でもあり、銀行、取引先および役員のほとんどの人が日建建設はもうダメかもと思ったことでしょう。しかし、現場は動いていましたので、そこで私があきらめる訳にはいきませんでした。1つひとつ問題を解決して、何とか乗り越えることができました。もちろん私1人の力ではなく、多くの関係者の協力があったからであり、皆さんには本当に感謝しています。長年、(一社)九州住宅産業協会、(一社)福岡県建築士事務所協会の役職をさせていただいていましたが、近年は(一社)福岡市建設業協会の会長職も拝命しています。リーマン・ショック以降、人手不足の状況は回復しておらず深刻な問題になっていますが、福岡市や九州という狭い視野で見るのではなく、業界全体の発展、そして若手の育成を促進することが重要だと思っています。

個々の社員を尊重。真摯に、継続して取り組む

日建建設新社屋
日建建設新社屋

    ──その力強いリーダーシップを支えるものは。

 金子 それは周囲の方が評価することであり、ありがたいのですが私としては特別なことをしている意識はありません。しいていうなら、余計なことを言わないという姿勢かもしれません。誰もがそれぞれの立場で、己のやるべきことに尽力していますから、それらを尊重しつつ、率直な意見と必要なことは伝えるというスタンスです。仕事における立場や業種、年齢などを問わず一貫させるようにしています。また、何事もすぐに結果が出るわけではないため、焦らないことも重要です。周囲に感謝しながら、やるべきことに真摯に向き合い、継続することが大事だと考えています。

 ──新体制後の展望は。

 金子 会社全体の事業内容や社員の業務などに大きな変化はありません。新体制に変えたというより整えた、という方が適切だと思っています。今後、日建建設と三京は、親子会社の関係ではなく、NIKKENホールディングスの傘下で対等な立場となります。それぞれがよりいっそう、自立して利益を出していく、という意識をもち、成果を挙げることへの責任をはたすことが必要となります。

 現在、おかげさまで先々代から受け継いだ六本松の地に社屋を構えており、建設事業、賃貸事業共に順調です。日本の人口は減少していますが福岡市は若い世代が増加傾向であり、マンション化率が全国トップクラスで、しばらくは大きな変化はないと予測されています。とはいえ、何があるかわからない時代であることもまた事実です。今後も周囲の意見やアドバイスにも耳を傾けながら、邁進していく所存です。

【文・構成:清家 麻衣子】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:金子 幸生
所在地:福岡市中央区六本松3-16-33
設 立:1950年3月
資本金:5,000万円
売上高:(22/3)19億4,857万円
URL:https://www.nikken-co.jp/


<プロフィール>
金子 幸生
(かねこ ゆきお)
福岡市出身。1968年4月16日生まれ。西南学院大学法学部卒。福岡地所㈱を経て95年5月、日建建設㈱入社。2003年3月、代表取締役社長に就任。(一社)福岡市建設業協会・会長、(一社)九州住宅産業協会・副理事長などを務める。趣味はゴルフ、ランニング。

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