2024年05月15日( 水 )

【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(速報)】研究論文水増し提示問題に関し、朔学長が学内向けにイミフな自己正当化

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 筆者が7月初頭に本ニュースサイト「NetIB-News」で、次いで11月8日に講談社「現代ビジネス」で報じた、福岡大学・朔啓二郎学長の研究業績水増し提示問題。

 同一執筆物の重複掲載や「サラミ論文」(本来一個の研究業績として提示されるべきものを複数の個別の研究業績であるかのように、いわばバラ売りで提示すること)まがいの手口で著書・論文数を2割以上も多く見せていたことはもちろん、学会報告と称したご当地グルメ記やブログ日記のような雑文、学報の人事欄や広報パンフ記事のたぐい、はたまた自分の執筆物ではないものまで自身の「論文」と称して公表するなど、そのスキャンダラスな実態は人々を驚愕させ、Yahoo!NewsやSNSを通じてたちまち全国に知れ渡った。

 11月12日および19日にはテレビ西日本の番組内でも取り上げられ、その問題性がいっそう幅広い人々に問いかけられたことも周知の通りである。朔学長の論文リストが世の人々の目にもいかに常識とモラルを逸脱したものか、よくわかる。

 この問題に関し、公式に何ら見解を表明せずにきた──それどころか、そうするつもりもないと、11月17日の大学協議会の席で述べたと聞く──朔学長だが、昨日12月1日、学内の全教職員宛てに、まるで弁明のような文書を送付していたことが判明した。

 毎年巨額の公的資金を投入されている福岡大学である。学生とその保護者はもちろん、すべての納税者が同大学のステークホルダーとして、朔学長の釈明を聞く権利がある。ここにその要旨を読者の皆さんにお伝えしよう。

■要旨

“私があたかも論文数を水増ししたかのような報道がなされているが、それは「印象操作」である。報道は私が掲げる論文数をノーベル賞受賞者の原著論文の数と比較した上で「多すぎる」としているが、私が提示しているのは原著論文だけではなく、総説や症例報告といったその他の論文種別を含んだ合計数だからである。

そもそも大学HPで公表している論文リストは、あくまで専任教員の研究・教育活動を幅広く世に紹介するための「広報用データベース」であって、学術界の「公式データベース」とは趣旨が異なる。重複掲載については、システムの仕様のせいである。いくつか論文種別の分類の間違いはあったことは認めるが、私が論文として掲げる2000本以上の発行物は全て実在のものである。”

 要は「問題ない」ということが言いたいのだろうと思われるが、なぜ問題でないのか、ほとんどの読者は朔学長の説明にまったく納得できないことだろう。なぜなら、報道が問題視しているのは、原著論文云々といった論文種別の「分類」の問題以前に、グルメ記やブログ日記まがいの雑文、挨拶文、顔写真だけなど、医学論文の定義の観点からはもちろん、素人目にも論文とは到底いえないものを「論文」と称して大量にリストアップしていること、さらには、明らかに朔氏が著者ではないもの(ライターや記者の署名入りのメディア記事や、現物に朔氏の名が著者として記載されていない論文など)まで「自分の論文」として掲げていることだからである。報道に接した全国の人々も、これを重大なモラルハザードとして問題視したからこそ、記事がこれほど拡散されたのが事実なのだが、朔学長はこれに対する回答は一切行っていない。むしろ、論点をずらして詭弁を弄し、人々を煙にまこうとしている。

 重複掲載についても、「システムの仕様でそうなっただけである」という言い方で「私の問題ではない 」と言いたいのだろうが、これほど大量の重複掲載があるのは、同じシステムを使う数多くの福岡大教員のなかで朔学長ただ1人である。そもそも、システムのせいだろうがなかろうが、学界用だろうが広報用だろうが、ステークホルダーに示す業績データを重複掲載していることが問題ないわけがない。仮に企業が収益を二重に計上していることが発覚すれば、粉飾決算としてたちまち訴追されるだろう。

 いずれにせよ朔学長は、福岡大HPにおける「論文」の定義は学界のそれのような厳密なものではないから問題ないという主張で居直りを決め込もうとしている。いまや福岡大学は「モラルを欠いた恥ずかしい人物を学長に戴く大学」として全国区で嘲笑の的になってしまったが、朔学長の “居直り“が許容されればこの悪評は改善されるどころか定着してしまうのは必至だ。在学している学生のあいだでも、「学長がそうしている」という理由で、学生たちが数行の雑文やケータイ写真、はたまた他人の執筆物のコピペなどを掲げて自分が書いた「レポート」「卒論」だと強弁するような事態も招きかねない。

 「福岡大学専任職員就業規則」には、職員が遵守すべき事項の1つとして「常に品位を保ち、大学の名誉を害し、信用を傷つけるようなことをしないこと」(第3条第2項)とある。また、「学校法人福岡大学職員の懲戒に関する規程」には、「職員が次の各号のいずれかに該当する場合は、懲戒解雇に処する。[中略](1)本学の名誉を著しく損なったとき」とある。朔氏がこれに該当しないかどうか、教職員各位はよくよくお考えの上、しかるべき行動をとっていただきたいと切望する。

【黒川 晶】

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