熊本23年地価公示、「県北の賃貸市場はTSMCで激変」

熊本賃貸ネット（株）
代表取締役　皆見 誠 氏

　──TSMCの立地で、賃貸住宅に対する問い合わせに変化はありましたか。

　皆見　2021年10月14日、TSMCが日本に半導体の新工場を建設すると発表してから、大きく変わりました。当社は熊本市北区や東区、菊陽町、大津市、合志市ほか熊本県北部の賃貸仲介を主力としておりますが、22年1月には即入居可能な物件はすべて埋まり、今でもその状況は続いています。それまで、このエリアでは駐車場が2台分ないと決まりにくかったのですが、そういった物件すら空きがない状況です。

　──家賃への影響はいかがですか。

　皆見　エリア内の家賃相場は、震災前が最低水準でした。そのころの家賃は、ざっくりいうと1Kだと駐車場込みで4万円くらいでしたが、今では5万円ほどにまで上昇しています。新工場に勤務予定の方も、すでに工場付近の部屋を押さえる傾向にあり、菊陽町や大津町の物件が枯渇しています。工事関連でも作業員の方用に1棟まるごと借り上げたり、新築物件を買い取ったりと、部屋を押さえるためにコストをかけている様子がうかがえます。

　──TSMCの進出により、新築物件の供給も増えているのでしょうか。

　皆見　菊陽町から熊本市北区に至る菊陽バイパスの周辺では、とくに増えてきています。部屋タイプもさまざまで、単身者向けからファミリー向けまで多くの物件が、これからも供給されていく予定のようです。それでもまだ供給不足の状況は変わらず、供給計画はまだまだ増えていくのではないでしょうか。

　──新築の供給では、菊陽バイパス沿い以外ではどこが人気なのでしょうか。

　皆見　菊陽町や大津町は住宅を建てられるエリアが限られているので、平地で建築に制限がないところであれば、すべて候補になり得るようです。工場建設は一過性の需要ですが、関連企業の進出も踏まえて、中期的に見ても成長性が高いエリアだと我々も見ています。当社のグループ会社で不動産開発を手がける（株）モダンプロジェと共同で、これらのエリアでアパート・マンションの供給も検討しているところです。すでに、具体的に動いているプロジェクトもあります。

　また、モダンプロジェとは共同で法人向けサービスの強化も図り、今後増えていくと見られる社宅需要にも対応していく予定です。大手をはじめ熊本県北部エリアでは競合が増えていくと見られますが、地域に根差した地場企業ならではの強みを生かした商品企画や細かいサービスを提供できればと考えています。

＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：皆見 誠
所在地：熊本市北区武蔵ケ丘4-20-20
設　立：2009年8月
資本金：300万円
ＴＥＬ：096-337-3131